恐怖!死のデス・ゲーム
アロハ天狗
恐怖!死のデス・ゲーム
「ルン!ルン!ルン!なんていい天気なのかしら!」
県内有数の名門校、白薔薇女学院の校庭を可憐な少女がスキップしています。
「本当にいい気分だわ…どうしてかって?決まってるじゃない!今日は仲良し四人組、百恵、明菜、聖子っぺ、そしてこの私、マリで百貨店のブティックにお買い物に行くんですもの!ルン!ルン!ルン!」
校庭の一面にマリの笑い声が響き渡ります!
「マリーッ!そんなところで一人で飛び跳ねていないで、早くこっちにいらっしゃい!もうみんな待ってるワヨ!」
校門から別の少女が声をかけます。
「あーッ!百恵、それに明菜、聖子っぺも!しまった、待ち合わせは校門だったワ!私ったらいけない!おっちょこちょいさんなんだから!メッ!」
自分の頭を小突いて舌を出しながら、マリが校庭に駆け寄っていきます。
その時です!
バチバチバチバチーーーッッッ!!
きゃああああああああああああ
きゃああああああああああああ
きゃああああああああああああ
きゃああああああああああああ
◆
「ウウム…私ったら、いったいどうしたのかしら…あーっここは!!」
目覚めたマリはびっくり仰天!!
なぜならそこは…いままで見たこともない不気味な世界だったのです!
「マリったら、朝からうるさいワヨ…あーっここは!!」
目覚めた明菜もびっくり仰天!!
なぜならそこは不気味で…お墓がたくさんあったのです!!
「「あーっここは!!」」
目覚めた聖子と百恵もびっくり仰天!!なぜならそこは不気味で…人魂がたくさん浮かんでいたからです!
「イーッヒッヒッヒ、ようやく起きたかねお前たち…」
不気味な声の方を四人が向くと、そこにはボロ布を纏った、とっても怖い顔のおばあさんがいたのです!!!
「ヒーッ!」
「怖いわ!」
「ヒーッ!」
「怖いわ!」
「お前たちはやってきたのじゃ…おばけ界に!!!」
「「「「おばけ界!?!?!?」」」」
「ここは悪い子が連れてこられるところ…おばけ界じゃ!!」
「明菜のせいよ!あンたが食いしん坊で、お地蔵さんのお供え物のおはぎを全部食べちゃうから!」
「じゃが、お前たちはハツラツ娘じゃ…だからチャンスをやろう!!」
「百恵だって食いしん坊で、神社のお供え物のおいなりさんを全部食べちゃうからじゃない!」
取っ組み合いがはじまりました!髪を引っ張りあっています、痛そう!
「おばけ界には地上のようにディスコやキャバレー、インベーダー・ゲームもなく、みんな退屈しておる…」
「聖子っぺのせいよ!聖子っぺが食いしん坊でこの前のクリスマス会でキリスト様のお供え物のショート・ケーキを全部食べちゃうからに決まってるわ!ちくしょう!」
暴力が行使されます!
「つまり、おまえたちがこのおばけ界でアイドル・グループになってみんなを楽しませることじゃ!そうすれば日本に戻れる!」
「マリが悪いのよ!食いしん坊で事故現場にお供えしてあったお菓子やジュースを全部食べちゃうから!何が聖子っぺだ!」
「セイーッ!」
見かねた忍者が、明菜の額に手裏剣を打ち込みます!
「ギャアアアアアアアアア!!!」
「マー、大変!明菜の額に手裏剣が打ち込まれているワ!」
「本当、額に手裏剣が!」
「早く抜かないと!」
「ギャアアアアアアアアア!!!」
「待って、私のお父様は偉い医学博士だから明菜の額に手裏剣などの刃物が刺さった時の対処法を聞いたことがあるわ!手裏剣を抜くと大出血をするので大変危険よ!」
「じゃあどうすればいいの!?」
「放っておきましょう!」
「ギャアアアアアアアアア!!!」
治療の甲斐あって、明菜も落ち着いてきました。
「明菜も落ち着いてよかったわ」
「ギャアアアア」
「ところでここは一体全体どこなのかしら?」
「つまり・・・じゃ、このカードを見るがよい!お前たち一人一人にこのカードが配られておるが中身はそれぞれ異なる」
「待って、私のお父様は偉い科学博士だから、聞いたことがあるわ!ここは・・・ひょっとしておばけ界かもしれないの!!」
「「「おばけ界!?!?!?」」」「ギャアーア!?」
「これは切り札ともなるが、命取りともなりうる・・・いつ使うかはお前たちの知略次第じゃ!」
「オホホホホ!大笑いね!この科学万能の時代に、おばけ界ですって!へそが茶を沸かすわ!オホホホ!」
「ギャーアア!」
「おばけ界ですって!オホホホ!」
「セイーッ!」
見かねた忍者が、明菜の額に再度手裏剣を打ち込みます!
「ギャアアアアアアアアア!!!」
「マー、大変!明菜の額に再度手裏剣が打ち込まれているワ!」
「本当、額に再度手裏剣が!」
「早く抜かないと!」
「ギャアアアアアアアアア!!!」
◆
治療の甲斐あって明菜も落ち着いてきましたので、おばあさんがもう一度最初から説明しました。おばあさんはもう一度説明するのが大好きなのです!
おばあさんがどこからともなく、マイコンを取り出しました。
「アッ、最新のマイコンが!」
「これは…おばけマイコンじゃ!」
「「「おばけマイコン!?!?!?」」」「ギャアーア?」
「お前たちはアイドル・グループとして一生懸命頑張れば地上に戻れる…だが一人だけはおばけ界に残らねばならぬ…つまり、生贄を決める死のデス・ゲームじゃ!」
「ヒーッ、怖い!」
「お前たちの顔を見るがよい…数字が出ておるじゃろう!これはおばけのファンの人数じゃ!びりっけつの者は地上に戻ることはできぬ!競争じゃ!…だが自分で自分のファンの数を見ることはできぬ!おばけ界には鏡はないからな!」
「ヒーッ、怖い!」
「そこで…じゃ、このカードを見るがよい!お前たち一人一人にこのカードが配られておるが中身はそれぞれ異なる」
「ヒーッ、怖い!」
「このカードは数字を入れ替えたり…増やしたり…色々するのじゃ!これは切り札ともなるが、命取りともなりうる…いつ使うかはお前たちの知略次第じゃ!」
「ヒーッ、怖い!」
「それでは死のゲームのはじまりじゃ…お前たちのアイドル・グループの名前を決めてもらうとするかの」
「そんなの…決まってるわ!」
「そう!」
「「「『花のおてんば少女団』よ!!」」」「『ギャアアーア』!!!」
◆
しかし…彼女たちは誰一人地上に戻ることができませんでした。
自分勝手なけんかばっかりをずっとしていたせいで、最後まで誰も一人のファンも獲得することができなかったのです…
皆さんはどうでしょう?ファミコンやアマチュア無線、切手集めばっかりしていて、お友達のきもちを考えられなくなっていないでしょうか…?
もし夜道を歩いていて、アイドルたちの歌声が聞こえてきても決して振り返ってはいけません。それはおばけ界からあなたをファンにしようとする、花のおてんば少女団のおばけの声なのですから…
ヒーッヒッヒッヒ…
(おわりです)
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