あの日からぼくらは

あきすけ。

第1話

「付き合ってください」


そう、電話越しに東雲結(しののめゆい)から告白されたのは2週間前。


「よろしくお願いします」


戸惑いながら私、佐倉南美(さくらなみ)はそう返したことを覚えている。安心した声で「よかった…」と言っていた。

結は私の1つ上で、10年前からの友達だ。イケメンで、女子がほっとかないタイプだった。常に困ってないイメージ。


どうして私なんだ…?


質問が頭をグルグル回る。


「おーい、南美?どうしたんだよ」


言葉が出てこないと、結の明るい声が届く。


「いや、ううん、何でもないよ。ありがとう」

「いやいや、こちらこそ」


お互いに社会人。久々の恋人ということでお互い緊張している。けれどそれがまた、歩幅を合わせられそうだととても安心した。


安心していた。




これから始まることは、2人にとっては“通常”で、周りから見れば“異常”なのだ。



それでも私はーーー…。

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あの日からぼくらは あきすけ。 @akisuke-san

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