好きな少女に告白したい俺の、卑怯で矮小な小細工の話

仲仁へび(旧:離久)

第1話 好きな人に告白したい



 俺は幼馴染の女の子が好きだ。

 でも、この恋心を自覚してから、かれこれ数年たっているけど、未だに付き合えていない。


 なんとか、付き合えないかな。


 今日も俺は、告白プランを考えながら登校していた。


 高校までの道のりで、頭を覚醒させるにはいい作業だったからだ。


「あっ、とーわ。おはよう」


 すると。幼なじみから声をかけられた。


 とーわこと、藤和が俺の名前だ。

 そして、幼馴染の少女、莉花を呼ぶ時の名前は莉花。そのまま。


 家が近所だから、ずっと仲良し。

 でも、俺の方がお兄ちゃんだから面倒をみるのは、いつもこっちだった。


「莉花、朝から元気だな」

「えへへ、そうかな」


 ぱたぱたと軽い足音を立てて近づいてくる莉花は今日もとてもかわいい。

 まじ、俺好み。


 幼げな顔つきとか、ちょっと天然な動作とか。めっちゃグッとくる! 


「いつも早いから、早起きマスターだな」

「そう? 何だか照れちゃうな」


 元気に笑って俺の隣に立ち並ぶ、莉花。

 ちらちらそっち見ちゃうのは、仕方ない。男の子だからな。


 莉花とは、同じ高校に通ってる、同い年の生徒だ。


 莉花はこちらを見ながら「んん?」と、首を傾げる。

 俺は「何だ?」と答えた。


 莉花はぐいっと顔を近づけて、俺の頭を凝視。


 近い近い。


「何か、大きくなった? とーわ、背が伸びたかな」


 そんなはずがあるわけないので、俺は莉花の頭をこづいて「そんなわけあるか」と返答。


「ありえないだろ」


 もっと近づいててもいいのよ。

 という心の声はしまっておく。


「さいきんとーわが違って見えるから、そのせいかな」

「何だそりゃ。へんな莉花だな」


 用事を終えた莉花が離れていった。名残惜しい。


 そんな風にのんきなやりとりをしていたら、よそみをしていたせいか莉花が転びかける。


「きゃあっ!」


 長い付き合いだから俺は慣れたもので、莉花の腕を引いて転倒するのを防止してやった。


「ほら、ちゃんと前見て歩けよ。いや、この場合は足元だったか」そう言いながら。


 たぶんだが、足元に転がっている石ころに躓いてしまったのだろう。


「えへへ、ごめんねとーわ。いつもありがと!」


 俺が助け慣れているのなら、莉花も助けられ慣れている方で、笑いながら謝るのも、謝られるのも常習化していた。


 妙な所で危なっかしいんだよな。

 こいつと一緒にいると、自然に俺がずっと見ててやらないとって、思えてくるよ。


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