114 ゲルト村防衛戦 05
「さて、俺の相手はどいつだ?」
ロランは
別の方面ではアイヴィーが
見回すと
向かってくる巨大
「こういう時は出方を見た方が安全……」
ロランは
凄まじい衝突音と共に
「なんて力だ……」
盾を支える腕が軋む。それでも傭兵として染み付いた修正で
どうやら体の大きさは驚異だが、知能がそこまで高くないらしい。ほぼ動物と変わらないと言っても良いだろう。しかし激しい攻撃が何度も
「あ、こ、このぉ! この盾は業物なんだぞ!」
あまりに激しい衝突音にロランが焦り始める。
しかしお構いなしに何度も
反撃を! と手に持った
ロランは一息つくと地面へとめり込んだ
ついでに
「どっちの味方だ? あいつは……」
鹿頭の
それと同時に輝く赤い瞳から不可思議な光線が解き放たれた。赤い光線は地面を焼き焦がしながら下から上へと薙ぎ払う。盾の表面に光線がぶつかった時に、強い衝撃を感じてロランは体を沈み込ませて耐える。
「ぐ、ぅうううっ!」
彼の背後にあった石壁の一部が、切断されて音を立てながら崩れ落ちる。そして石壁だけでなく、その背後にあったはずの木製の建物までもが切り裂かれた。
「な、なんだと……」
ロランが盾の表面を見るとそこには焼き焦げたような跡がついていた。そして後ろを見ると崩れた石壁と建物が綺麗に切断され、さらに切断面が燃え焦げて煙をあげているのが見える。自警団が慌てて消火の準備を始めているが、何度もこの光線を放たれると街そのものが火の海になるだろう。
「コロスゥゥゥッ!」
鹿頭の
『あ、しゃべれるんだ』とロランは変な意味で感心するが、相手の意識を街の方へと向けるわけにはいかない。
「はっ、こっちだ! ウスノロ!」
ロランは
「こい!」
挑発で頭に血が上っているのか、ロランへとまっすぐ突進する鹿頭。ロランは慎重に相手との距離を計算しながら相手の突進を待つ。
ロランは前に大きく踏み出すと
自らの自重と勢いで
「これでおしまいだ!」
断末魔の悲鳴をあげて、地面へと倒れた鹿頭。突き立てられた
傭兵時代に騎兵対策としてよく練習していた動きだったが、あの瞬間の前進はかなりの恐怖を感じた……ほんの少しだけでも遅れていたら
賭けに勝った……とため息をつく。鹿頭の
「あとは一体づつ片付けていくだけだな」
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