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夏祭りの日がやって来た。佐伯先輩とLINEを交換した私は、それで先輩に会う約束を取り付けた。先輩は私と真摯に話してくれて、朝十時に街の公園の噴水の前で待ち合わせをする事になり、今、その噴水の前で、私は先輩を待っている。
夏祭りは、毎年七月の、第四週土曜日と日曜日に行われる。今年もその日、今日と明日に行われる夏祭りは、既に賑わい始め、夏祭り会場である街の公園にも、祭りの実行委員や見物客が集まり、祭りには欠かせない出店も開店していて、楽しくウキウキするような空気が流れている。
ピンポン!
LINEの着信音が鳴り、見ると、先輩からだ。今近くまで来たからもうすぐ着くという。私はいつも早めに待ち合わせに来るので、こうやって誰かを待つのは慣れっこである。待っている時間は、相手が遅く来ると感じる人もいるかもしれないけれど、私はこれから会う人と何をしようか、と想像しながら、その日やる事を考える時間にしている。そして、どんな風にこの後過ごせるか楽しみにしている。それが、今日は佐伯先輩と過ごす時間。胸は高鳴り、これから起こる夏祭りの『デート』に、私は嬉しさを隠せずにいた。
そして、そう、この夏祭りで佐伯先輩に告白するのだ。先輩をその為に誘った夏祭り。私は「うん!」と気を引き締め、この大舞台に臨まなくてはならない。
ピンポン!
再びLINEの着信音が鳴った。先輩かな?と見ると、美緒からだ。何かな?と読んでみると、こう書かれていた。
美緒 夏稀、夏祭りの告白、頑張ってね!
美緒 私夏稀を応援する為に早起きして来たんだからね。近くで応援してるよ!
ピンポン!
「えっ、来てるの!?」と思う間もなくまたLINEが鳴り、見ると一美からで、文面は短文でこう書かれていた。
一美 私も来てるよ!
一美 すぐそこのりんご飴屋さんの横!
りんご飴屋さんの横を見ると、美緒と一美が、こちらにグーサインを出してはにかんでいる。私はLINEで美緒に返事を返す。
夏稀 もう、来ちゃったのね
夏稀 心強いけれど、深入りはしないでね。今日は私と先輩だけで会う約束だから
美緒 分かってるわよ。草葉の陰から応援してるわ、頑張ってね
夏稀 ありがとう
ピンポン!
一美からも応援のメッセージが来た。そして夏祭りの『デート』のヒントをくれる。
一美 頑張って、夏稀!
一美 それと今年の夏祭り、今日の花火の前に天体ショーをやるみたいだから、それも利用して、上手く先輩にアプローチするのよ!
そうか、と私は頷いて、一美のアドバイスを聞く。そうか、天体ショーをやるのね。
夏稀 一美、ありがとう
夏稀 二人共、いつも助けてくれてありがとう。上手くいったら、二人にかき氷奢るわね
美緒 どういたしまして!
一美 こちらこそ、夏稀!
二人に励まされた私は、後は先輩と夏祭りに繰り出すのね!とこれからの出来事、〈勝負〉に気合を入れ、臨む準備が出来たと意気込む。
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