傘がいらない子供
朱い社の下で、人間が願い事を聞いてきた。
「私のお願いを叶えてくれた人に会いたいです」
と願い事が聞こえたが、姿は見えない。
社の下から出て、池の傍の茂みから見ると何度も来ていた子供だ。
子供は、私が茂みの草を鱗の身体で鳴らすと、こちらに来て池に向って声をかけた。
いつも抱えていた、ぬいぐるみは、今日はない。
池の傍で子供が一人でいれば、親が駆けてきそうだが、この子供にそれは来ないことを知っていた。
子供の身体を雨が通り抜けて土を濡らしていた。
池の中の私を覗き
「わー!私のお願いを聞いてくれたのは、龍の神様だったのね」
と言う。
私はただの蛇、と返事をした間もなく雨が上がり、子供の姿は消えてしまった。
。
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