第53話 部分【性転換】
和久津の主張はこうだ。【性転換】スキルを調整し、頭皮だけを女性化すれば髪がフサフサになり、今まで通りの生活、いや今まで以上の人生が送れるようになる筈だと。
「よし、いくぞ」
「はい!パイセン!お願いします!!」
和久津の腕を握って調整しながら【性転換】を発動する。和久津の身体が光り輝き、やがて露わになる。髪はフサフサだ。
「どうだ?」
「上半身は女っす?」
和久津が自分の胸を揉みながら言う。
「五条、今の男女比を教えてくれ」
「えっ、あっ、はい!3.5対2.5です!」
俺、富沢、フィロメオ、和久津0.5に対して和久津0.5、黛、望月か。
「和久津。ちなみに下はどうなってる?」
「……両方あります!!」
和久津が股間をまさぐりながら答えた。
「よし」
「よし!?」
「実験は成功だ。皆、新しい和久津をよろしく頼む」
和久津の肩を叩き、皆に紹介する。
「ほほほ!髪はフサフサのふたなりですね?よろしくお願いします」
「フサナリの和久津。ヨロシク」
富沢と黛だけが乗っかってきた。残りのメンバーは引いているな。つまらん奴等だ。
「和久津。どうする?このまま生きてゆくか?」
「な訳ないっしょ!一旦戻して下さい!!」
「後悔しないか?」
「するかっ!!」
ちっ。冗談のわからん男だ。いや、女だ。仕方なく和久津の腕を取って【性転換】を発動し、元の姿に戻す。
「和久津の要望が分からないな」
「だからですねー、頭皮だけ女でお願いします!」
「頭皮を意識すればいいんだな?」
【性転換】
頭の禿げ上がった女が現れた。
「パイセン!男女比が逆っす!!」
「本当か?五条、男女比はどうなっている?」
「……3.1対2.9です」
和久津単体の男女比は0.1対0.9か。頭だけまるっと男だな。
「どうする?」
「元に戻して下さいっ!!」
和久津の我儘をきいて元に戻す。手のかかる奴だ。
「パイセン!フサフサです!フサフサを意識して下さい!!」
「フサフサのフサフサだな。分かった」
和久津の腕を握り、今までより力を込めて【性転換】を発動する。和久津の身体が今までにない光に包まれた。一瞬視力を失い、徐々に視界が戻ってきた。
「……どうだ」
「……胸に房が四つあります」
和久津の着るシャツははち切れそうだ。
「五条、男女比は?」
「……3対4です」
「サブロー。和久津が怖い。戻して」
全く喋らなくなった和久津を元に戻し、そして頭皮だけを女性にしてやった。最終的な和久津の男女比は0.98対0.02に落ち着いた。
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