第26話 魔道具

"これは【入換】?"


ルクハルトはスキルオーブを手に取り、くるくると回して入念に確かめた後、答え合わせをするように聞いてきた。


"ああ、正解だ。その【入換】のスキルを俺の剣に付与して欲しい"


開心剣をマジックポーチから取り出すと、ルクハルトは後退りする。


"……その剣、まともなものじゃないな"


"【開心】のスキルが付与されている"


"そんなスキル、聞いたことないぞ"


"相手の記憶や心を読み取るスキルだ"


"その【開心】と【入換】を組み合わせようというのか?"


ルクハルトは俺を睨みつけた。


"俺に協力するという約束の筈だ"


"そんな魔剣を手に入れて何をするつもりだ"


"なんだってするさ。神様が望めば"


"……"


"……"


"私はリリパット達のことを信用している。そのリリパット達はネギシ殿を慕っているように思える"


ルクハルトは観念したように大きく息を吐いた。


"引き受けよう。だが、失敗する可能性もある。強力なスキルの付与は困難を極める"


"おいおい。失敗に予防線を張るつもりか?"


"……全力を尽くす"


"それでいい"


スキルオーブと開心剣をマジックポーチにしまい、ルクハルトは集会所から出て行こうとする。危ない。忘れるところだった。


"もう一件ある"


"悪いがそんなにいくつも同時には出来ないぞ。さっきの剣への付与だって命を削る程の作業だ"


"これは俺ではなく、ルベリートからの依頼だ。もちろん、後回しにしていい"


"ルベリートが?あの女はどこで何をやっている?"


"地球、俺達の星を満喫しているところだ"


マジックポーチから依頼の品々を取り出す。


"これはなんだ?ワームか?"


"まぁ、そんなところだ。これを参考にして魔石で動く魔道具を作って欲しいそうだ"


"子供のおもちゃにしては可愛げがないな"


残念。それは大人のだ。

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