第22話 淫夢

糸が切れたように崩れ落ちた黛が目覚めたのは、ルベリートが指を鳴らしてから30分程度経ってからだった。


地面に寝かせてはおけないとリリパット達が騒ぐので、集会所に併設された簡易宿のベッドの上に黛はいる。


上半身を起こして目をパチパチとさせ、ここが何処だか確かめているようだ。


周りには淫夢に興味を持ったグランピーとマレーン、レベッカに富沢までもが集まっていた。ルベリートは当然いる。


「大丈夫か?」


「平気」


"平気だそうだ。命拾いしたな"


"むしろ感謝しておるじゃろーて。下着の替えは必要だがの。感想きいてみ"


「女エルフが感想を聞きたいそうだ」


「いいの?」


「構わん」


「エロい格好してる癖に全然大したことない。バリエーションがなくて単調。本物のサブローの方が何倍もアグレッシブでアブノーマル。異世界のエロスにがっかり」



「……」

「ほほほッ!」

「「アグレッシブデアブノーマル!」」

「לֹא נוֹרמָלִי לֹא נוֹרמָלִי!」



"どうじゃ?"


"異世界のエロスにがっかりだそうだ"


"おんし、だいぶ端折っとらんか?"


"そんなことはない。一字一句伝えた。何度も異世界のエロスにがっかりだと言っていた"


"くっ!!ワシはエロスの権威ぞ!コケにする気か!"


何で怒っているんだ。コイツは。


「黛。女エルフが怒っているぞ」


「この程度で色欲の加護が貰えるなんて生まれた星に感謝すべき。こんな女、地球なら淑女」


黛がしっかりとルベリートを見て挑発した。珍しく熱くなっているな。


"私の星ならお前は淑女。だそうだ"


"ふざけおって!!下着を汚しておる癖に生意気な!おんしらの星のエロスがどんなもんか、ワシは確かめに行くぞ!"


"お前、何を言ってるんだ?"


"そのまんまじゃ!どーせ簡単に行き来出来るんじゃろ?ワシがおんしらの星に行ってエロスを見定める!"


ルベリートは黛を指差し、そう宣言した。

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