第74話 目々野の平日①

あああー絶対に面倒くさいことになるようう!


新しいボス、根岸なんとかに呼び出されてしまった。何もしてないはずだけどなぁ。何かあったかなぁ?ずーっと自分の部屋でダラダラしていただけなのに。


「ちょっと目々野さん!さっきからボスが会議室で待ってるんです!早くしてください!」


金髪の女が部屋の入り口で仁王立ちをしている。勝手に鍵を開けてこの態度だ。こいつはいつも僕を急かすから嫌いだ。


「10分で布団からでる。10分だけ待って」


「さっきもそれ言ってましたよ!もう待てません!」


「お、おかわり」


「出来ません!今すぐ布団から出て下さい!」


「見られてると出ないんだようう。ほら、わかるだろう?」


「全然わかりません!何の事言ってるんですか!?いいから出て!ほら」


金髪女は僕の部屋に上がりこんできて布団に手をかける。


「いい加減に!出て!下さいっ!」


バサッ


「ひゃー」


「キャー!!なんで裸なんですか!死ね?」


「か、勝手に部屋に入ってきたんじゃないかようう!一々服なんて着るわけないだろうう」


「いいから服着ろ!殺すぞ!」


「……はい」


納得いかないようううう!



#######



「久しぶりだな。目々野」


「ひ、久しぶり、です」


前のボスも苦手だったけど、新しいボスも苦手なんだよなぁぁ。何考えてるか分からないし。目が怖いし。早く布団に帰りたい。


「どうだ?何もせず自分の部屋でダラダラする日々は」


「さ、最高」


「俺のお陰だな。勝手にメシも出てくるし、何不自由ない生活だ」


ああああー、これは絶対に何かやらされる流れだようううー!恩着せ!がましい!


「カンシャシテマス」


「そうか。よかった。で、今日呼び出したのはな……」


来たああああ!絶対に面倒くさいやつだようう!


「プレゼントを持って来た」


「えっ?」


「プレゼントだ。しかもレアな魔道具だぞ」


なんでなんでなんで!ボスはマジックポーチを漁り始めた。


「ちょっとデカイぞ。っと、これがプレゼントだ」


出てきたのはデカイ箱みたいなもの。


「これは【転移】のスキルが付与された葛籠だ。もともとは2つセットの魔道具なんだが、もう1つは他のところにある」


「はぁ」


「この魔道具は凄いぞ。一方の葛籠にモノをいれて蓋を閉めると、もう片方の葛籠に転移するんだ」


「はぁ」


「この葛籠を目々野の部屋に置いておく。何か転移してきたら箱が光るから、その時は適当に対処して俺に連絡をくれ」


「はぁ」


「目々野。人にプレゼントを貰ったらどう言うんだ?」


「あ、アリガトウゴザイマス」


納得いかないようううう!

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