第27話 和久津の冒険

「おおお!結構集まってるっす!」


第6階層に転移した先には人、人、人。50人は超えてるじゃないかな?これみんな、掲示板を見てユニーク狩りに集まったエクスプローラー?マジ凄い熱気。たまらねぇっす。


「わ、ヨコチン!」


有名なエクスプローラー系YouToberのヨコチンがアクションカメラ付きのヘルメットを被って準備をしている。ゴリゴリマッチョで肉弾戦を得意にしていて、素手でモンスターに立ち向かうシリーズが有名だ。オーガとノーガード殴り合いする動画は1000万再生を超えていて、俺も何度も見た。


ヨコチンの周りにはスタッフぽい男女もいて、ハンディカムも回っている。どうやら本当に今日のユニーク狩りを配信するつもりらしい。やばい、楽しくなってきた!


「皆さん!ヨコチンのマネージャーをしている田村由美と申します!本日は第6階層で目撃情報のあったオークキングの討伐を配信したいと思います!ご協力頂ける方はグループチャットに招待したいと思いますので私のところまで来てください!」


これは!ヨコチンと知り合いになるチャンス!出来れば田村さんともお近づきになりたい!俺は急いで田村さんの所へ行く。


人だかりを掻き分けて辿りつくと、田村さんは「冒険しよう!」アプリでフレンド登録してくれて、グループチャットに加わることが出来た。これでいつでも田村さんにDM出来る!


「グループチャットに加わった方は自由に探索を始めて頂いてかまいません!そのかわりオークキングを見つけたらグループチャットでマップ情報を送ってください!ヨコチンが駆けつけます!皆さんも集まってください!見つけた方にはもちろん謝礼を払います!!」


そりゃー、ユニークモンスターを譲るんだ。謝礼は貰わないとね!よーし探すぞー。オークキングは俺が見つけるっす!


まだ他のエクスプローラーが向かってなさそうなところに目星をつけてぐいぐい進む。ちょくちょく普通のオークに遭遇するが、1対1なら遅れを取ることはない。スキルも必要ない。いざオークキングと遭遇した時のためにスキルは温存してしておかないと。


「今日は調子がいいっす!」


さくさくオークを倒しながら小走りにダンジョンを進む。時々スマホで他のエクスプローラーの状況を確認するが、今のところグループチャットにオークキングの情報はない。


「よーし!マジで見つけて有名人になってやるっす!道で歩いてたら、和久津さんですよね?って言われるようになるっす」


意気揚々と俺は先へ進んだ。いざ、オークキング!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る