第17話 揉める女性陣
「た、助けてくれてありがとう……その、ピヨすけ……」
「うむ! 私のシロウをいじめるやつは許せないのだ! あんなやつはドーンでボーンなのだ!」
巨大蛇に食われかけたところを助けてくれた謎の女の子。
背中に炎の翼を生やした小学生ぐらいの見た目の可愛いらしい感じ。
どうにもこの子が俺が呼び出していたヒヨコことピヨすけらしいのだが……
「えーとその……一回戻ってもらってもいいかな?」
「うん? いいぞ、私はシロウに従うぞ!」
地面に降ろしてもらい、魔力渦を作り出し一旦戻ってもらう。
「……いでよ俺のピヨすけー!」
再度魔力渦を作り出し、俺のピヨすけを呼び出す。
「呼ばれたー! ケーキか? 美味しいケーキの時間なのか!?」
いつもの感じでヒヨコのピヨすけを呼び出してみるが、渦から元気に飛び出してきたのはさっきの女の子。
……これは……マジでピヨすけがこの子になったっぽいぞ。なんたらフェニックス、だっけ?
「シロウ! 無事ですか!? お怪我は……!?」
「まさか蒸気モンスターが現れるとか、一時どうなるかと思ったが……やはりシロウはすごいな」
腰に元気にまとわりつく女の子の頭を撫で落ち着かせていたら、ネイシアとエレンディアさんが心配そうに駆けつけてくれた。
とりあえず二人共無事で良かった。
「ど、どうにもここが当たりで、岩の上の不思議な歪み、その中にあった魔力の塊が『ロクトソウル』だったようです」
腹にぐいぐい顔をこすりつけてくる女の子に困惑しつつ応える。
「ほう、ということはやはりこの子が君のピヨすけ、つまり元の姿を取り戻した『輪廻と再生の大鳳凰鳥』ということか……千年前に途絶えた生物召喚、そして神獣と呼ばれる者の頂点に立つ存在の復活、その瞬間をこの目で見れるとか……なんか色々凄すぎて頭の理解が追いつかないよ、はは」
「うわっはーこの可愛い子がピヨすけちゃんなんですか!? まるでシロウの子供みたいですね、かっわいい!!」
エレンディアさんが苦笑いをし、ネイシアが見た目小学生ぐらいの女の子こと、復活を果たしたらしいピヨすけに抱きつく。
いや、俺十六歳だし、こんな大きな子供いたらおかしいでしょ……せめて俺の妹に見えるとか言って、ネイシア……。
「むぅぅ……よせ小娘……苦しいのだ! 胸ばかり大きい女はシロウに近付くなぁ!」
ピヨすけがグイグイ抱きつくネイシアの顔を手で押し返そうとするが、手が短くて上手くいかない模様。
「おお……おおお……すごいぞ、今私はあの『大鳳凰鳥』を触っている……こんな日が、こんな夢のような日が来るとは……! シ、シロウ……ぜひこの子の研究をさせて欲しいのだが!」
エレンディアさんが呼吸荒くピヨすけの体をペタペタと触り、興奮気味に俺に言ってくる。
「むぅぅ……! こいつも大きな胸を……そうか分かったぞ、お前らその無駄に大きい肉で私のシロウを誘惑したんだろ! あ、こら勝手にお尻に触るな! この体はシロウの物なんだ!」
「ふ、二人共そのへんで……ピヨすけが怖がっていますので……」
女性三人が触り合う姿は今まで画面越しにしか見たことがなかったので興奮するのだが、さすがにピヨすけが嫌がっているので俺のもとに引き寄せる。
エレンディアさんの研究は却下です。
「べぇーだ、胸でか女はシロウの好みじゃないってことなのだ! な、シロウ?」
俺の後ろの安全圏から二人に舌を出し、ピヨすけがニコニコと俺を見てくる。
え、なんの話。
「そ、そうなのですかシロウ? 確かに私の胸は少し大きめですが……」
「ネイシア様、大丈夫ですよ。シロウは道中、何度か私たちの胸をチラ見していましたから」
おお、ネイシアが自分の胸を触っている……! ってエレンディアさん? え、もしかしてたまにお二人のお胸様を見ているの、気付かれてた……?
いやそりゃ見ますよ、お、俺だってその健全な男の子だもの……!
「むぅぅううううう!! 私だって本来はもっと体だって胸だって大きいのだ! シロウ、ケーキ! またケーキを食べさせて欲しいのだ! そうすればもっと成長してシロウ好みの体になるのだ!」
ピヨすけが半泣きで俺の体をゆすってくるが、なんなのこの状況。
よく分からない巨大蛇倒して、ついにピヨすけが鳳凰として千年振りに復活した劇的な瞬間なんだよな?
それがなんでこんな痴話喧嘩みたいなことになってんの……。
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