共感性人生
天草ナツキ
小説の中に生きる
「自分語り」
「1」
物心ついたときには、もう噓つきだったんだと思う。
些細な事も噓をつくくせに、噓をつくこと自体は下手だった。
親だとか親戚にはすぐばれたし、友達には自分からばらしてトラブルをよく起こしていた。
その【噓つき】が自分の人生を変えるなんて、そりゃ思ってもみなかったよ。
人に弱いところを見せるのが嫌いだった。
人前での食事も嫌で、とにかく人見知りだった。
だけど演劇で主役を演じたことがあった。緊張で記憶はほぼないが。
泣き虫で、水が嫌いな子供だった。
……と、幼少期のことを語ったはいいが自分はまだ子供のままだ。
ずっと、ずっと子供のままだ。
噓をついて人を傷付けたことは数知れない。
もちろん、自分自身を傷付けたことも多い。
自分語りから始まる小説はお嫌いかな?
でも、それでもいいじゃない。
読みたい人が読めばいい。
自分の話すことは、その程度の価値のものさ。
小さい頃から本ばかり読んで育って、頭ばかり働くようになってしまったから。
しばらく人と話さないと声が出なかったり、ちゃんと動けなくなる。
みんなのように上手く会話もできないことがあるんだ。
人と話すのは楽しいんだよ。もちろん。
だから、こうして一方的にみんなに語りかけるのが一番楽で楽しいんだ。
ちょっとくらいわかってくれると嬉しいけれどね。
そうだな、キャッチコピーに応じて初めは共感の話をするべきだよね。
わかる、とかそれな、とか、本心の時もあるけど違うときの方が多い。
分かるわけがないじゃん。
できるだけそんな本心がバレないように言ってるつもりだけど、どう聞こえてるんだろうね。
そんなことより、もっと重要なことがある気がするんだけど……思い出せないな。
まぁいいや。深く考えずに話をしよう。
画面の前のみんなは、何が聞きたい?
なんて言ったって、答えられてもこっちには届かないけどね。
そうだなぁ……まずは自分について詳しく話すべき?
ざっくりでいいんだったら話そうかな。
自分は中学三年生、女子。
ゲームとアニメと小説に浸って生きてきた。
この一人称は、ネットでだけ使ってる。
自分は自分、それだけの話だもんね。
って、だんだんグダグダになってきたなあ。
今回はこの辺で切るべきかな?うん、そうしちゃおう。
ばいばい。みなさん、よい一日を。
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