森を散歩してたら落ちていたのは王子様でした
茜カナコ
第1話
パール・ランド嬢が散歩していると、青年が木の根元に寝転がっていた。
「もしもし、こんなところで寝ていたら、風邪を引きますよ」
パールが声を掛けると、青年は目を覚ました。
「私としたことが」
青年が立ち上がった。背は思ったよりも高く、パールは青年を見上げる形になった。
「あまりに風が心地よくて、一休みしていたら眠りに落ちていたようです」
「そうですわね。今日は風が心地よいですわね」
「あなたもお散歩ですか?」
青年の整った顔が、くしゃっと笑顔になった。
パールは自分の胸が高鳴るのを感じた。
「ええ、町の様子を視察した後の散歩です」
青年の声は、澄んでいて耳に心地よかった。
「私の名前はパール・ランドと申します」
「申し遅れました。私はアンディ・メイラーです」
「あら、王子様と同じお名前?」
パールが微笑むと、青年も微笑んだ。
「そうですね」
「奇遇ですこと」
「この国は戦争もなく平和ですから、王も民に慕われておりますわね」
「そうですか」
青年は遠い目をした。
「アンディ様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、パール様」
「治安が良いとはいえ、そのような豪華な身なりで居眠りをしていると人さらいにあいますわよ」
「あはは、そうですね、気をつけます」
青年はおかしそうに笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます