泳ぎ

玄関に自販機

家に自販機がある。

家っつってもリビングにドーンとあるわけじゃないよ、タダで落っこちてもこないし。

ドアじゃなくて何故か引戸にした玄関の先、家の敷地ギリギリの隅に置かれている自販機。

俺が生まれた11年前、この家が建ったときと同時に設置された自動販売機。

コーラじゃないけど、恐ろしくコーラを彷彿とさせる「大容量500ミリ」を謳った赤茶色の謎の缶ジュースとか、どぎつい水色の妙にスッキリしないサイダーばっかりの自販機あるでしょ。なんだかお茶の色もやけに薄いんだよね。きっと、同じクラスの沢野さんは絶対こんなのじゃなくて、ちゃんと大手メーカーのお茶買うと思うよ。そ。それでも、500ミリ缶で100円とか、缶コーヒーなんて80円だから、割と使う人も多いわけよね。ほら、また中学生が、いや、あれは高校1年か。少ない小遣いでやりくりせないかん少年たちが家の自販機に集まってくるわけさ。

ま、かくいう俺も月500円の収入で生き抜く小5なんだけど。