Butterfly's route * Tristan

 翌日。華菜の乱入があったものの、無事にレポートを終わらせた俺は、二限が始まる少し前に大学に着いた。その後にとある人物とバッタリ遭遇し、そのまま一緒に食堂に向かうことになる。


「食堂、絶対混んでるよな」

「この時間だと、余計にねー。まぁ仕方ないけど」

 隣で話しているのは、同じサークルの笹木だ。同じ学部ということもあって、結構仲良くしている。

「あー……。やっぱり混んでるな」

 食堂に着くと、案の定大混雑していた。外から見ただけでも、この混みようだ。中は絶対に混雑している。

「じゃあさ、購買でお弁当でも買って、部室で食べない? 私、忘れ物してたの思い出した」

「そうするか。部室なら、ゆっくりできるしな」

 笹木と話し合った結果、俺たちは購買で弁当を買ってサークル棟に向かうことにした。大学は人が多いから、ゆっくりできるのは限られたスペースしかない。

「てかさー、今日提出のレポート、めっちゃ大変だったよね! 私、寝不足なんだけど」

「ああ。俺も昨日の夜から焦り始めて、何とか終わらせたって感じ」

「これで期末レポートも重かったら、マジで最悪だよねー! もう勘弁してほしーい!」

 二人でレポートのことを話ながら、サークル棟の階段を上る。俺たちの部室は、二階の一番奥だ。


「失礼しまーす。……って、十六夜!」

「あっ、笹木さん」

 引き戸をガラガラッと開けた笹木が、驚いた顔で中を覗く。どうやら先客がいたようだ。

「なんだ、涼もいたのか。一緒に食べようぜ」

「悠! うん、一緒に食べよう!」

 美味しそうにハンバーグを頬張ってるのは、同学年の十六夜涼だ。中性的な顔立ちのイケメンで、サークル内でも専らの噂になっている。

「悠、俺のハンバーグ、少しあげるよ」

「マジで? じゃあ俺も、このフライやるよ」

 涼の食べてるハンバーグ弁当、実は気になってたんだよな。これはラッキー!

「なんか、二人とも仲良しだねー。十六夜、私にはくれないのー?」

「……」

 ……え? 涼のやつ、笹木が話し掛けた途端、急に黙り始めた。一体どうしたんだ?

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