End Galahad * Credulity

「ねぇ、篠田君……。次の駅で、一回降りない?」

「え? まぁ、いいけど……」

 急にもじもじし始めた東さんと一緒に、普段は通過するだけの駅で降りる。近隣住民が使用する程度の、本当に小さな駅だ。

「ちょっと、トイレに行きたくなっちゃって。いきなりごめんね」

「ああ、トイレか。全然構わないぜ」

 東さんは慌てた様子でトイレに駆け込んだ。具合でも悪いのか? 心配だが、近くで待ってるか――。


「――っ!?」

 ――突然、背後から強い力で殴られ、思わずその場でよろけてしまう。うっ……、だ、誰だよ……。

「東様、お車は向こうに」

「分かったわ。早く連れてって」

 えっ……、あ、東さん……?

「篠田君、ちょっと我慢しててね。大人しくしてくれたら、すぐに『神様』になれるから」

「は……? か、神……?」

 ちょっ……。何を言ってるのか、サッパリ分かんねぇ……。

「篠田君はすごい人なの。だって、私たちの『神様』にそっくりなんだから。私、篠田君のことだーい好き」

 あっ……。ヤバい、頭がクラクラしてきた……。

「だから……。これからはずっと、私たちと一緒だよ。共に尊い思想を広めましょう」

 あ、づま、さん……。

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