Butterfly's route * Arthur
華菜に乗せられてあれこれ調べた結果……。意外と面白そうなゲームだということが判明した。てっきり乙女ゲームかと思っていたが、円卓の騎士の他にも色んなキャラが出るらしく、意外と男性プレーヤーも多いようだ。スマホのゲームだし、せっかくだから、俺も始めてみようかな……。
「よっ、篠田! 今から食堂?」
二限の講義が終わってウロウロしていると、教室から出てきた笹木に声を掛けられた。彼女は同じサークルの仲間で、比較的よく話す方だ。
「ああ、そうしようと思ってた。おまえも?」
「うん。だからさ、一緒に食べない?」
同じサークルの上に同じ学部だから、こういうパターンも少なくない。笹木は気さくな性格だから、一緒に食事をしていても気が楽だ。
「そうだな。俺、期間限定メニューにするわ」
「へー。じゃあ私も、それにしようかなー」
食堂はいつも混雑しているが、今日も相変わらず大混雑だ。席の確保に苦心した末、一番隅のカウンター席を陣取る。
「てかさー、今日提出のレポート、めっちゃ大変だったよね! 私、寝不足なんだけど」
「ああ。俺も昨日の夜から焦り始めて、何とか終わらせた。途中で妹が乱入してきてさぁー」
「あ、篠田って、妹いるんだ。私もいるよー」
華菜のことは、笹木にとって初耳だったか。まぁ普段、妹のことなんて喋らないしな。
「今高二なんだけどさー、スマホのゲームにハマってるんだよねー。何だっけ? えーっと、円卓の騎士が出てくるやつ」
「えっ? それ、俺の妹がやってるのと同じやつかも」
「マジで? 相当流行ってるんだねー」
本当に、人気のあるゲームなんだな。俺、全然知らなかった。
「妹に言われてちょっと調べてみたんだけど、結構面白そうなんだよ。俺も始めてみようかと思って」
「篠田もやるの? じゃあ私もやろうかなー。姉妹共通の話のネタにもなるし」
ひと段落ついたところで、食堂を後にして三限の教室へと向かう。次は学部共通の授業だから、笹木と一緒に席に着いた。
「私、ちょっと部室行ってくる」
「部室? 今からか?」
「うん。忘れ物、取りに行ってくる」
笹木はそう言うと、リュックを掴んで出て行ってしまった。今からサークル棟まで行くって、講義が始まるまでに帰って来れるのか?
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