ペンを捨てて、春に堕ちる
@A-oake
第1話
In the future, everyone will be world famous for 15 minutes.
(将来、15分の間なら誰でも世界的に有名になれる)
これはアンディ・ウォーホルという芸術家の名言である。この言葉が本当ならば俺は''司波湊''という人間ではなく、ただただ小説というものに取り憑く亡霊か何かなのかもしれない。
東京に出て、ワンルームのマンションに住んで、日が暮れるまで小説を書き殴る。と言ったようなことを学生時代は考えていた。しかし実際はと言うと、東京の郊外で、6畳の古いマンションに住んでいた。朝机に向かって物語が降りてくるまでずっと待って、気づいたら日が暮れていて、原稿を見ると文字は、その半分も満たしていなかった。いつかきっと世間様があっと驚くような小説を書いてみせる。と脳みその表面上だけで考えて眠りに落ちていた。
人様は、働きもせず1日中家にいる俺を、「みっともない」や「働け」などと言うだろう。どうやら売れない小説家や作曲家などは職として認められないらしい。売れない小説家を続けていていると逆に売れるのが恐ろしくなった。この歳までノロノロと小説家ごっこを続けてきた事が世間様にバレるからだ。
いっそもう飼い犬となって働くことを考えた。「よし、そうしよう。」と決めた途端、重ねられた原稿が見えた。そして俺は思った。「いっそ全部捨ててやる。今まで書いたもの全てを、」と。重ねられた紙を荒々しく掴み取りゴミ箱に突っ込んだ。机を見ると「薄い1枚の紙」だけが残されていた。
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