第3話 想定外!!

 数日後、『結核テーベー』の疑いが晴れた患者さんが、心電図エーカーゲーに来た。 狭心症の追跡検査の為だ。


 …『負荷心電図マスター2ステップ』という検査をおこなった。


 恐らく『労作性狭心症』と呼ばれる、運動等により心臓に負担がかかった時にのみ発作が起きる疾患…が考えられた。


 「お疲れ様でした。 詳しい結果は、後日先生からお聴きになって下さいね!」…と、いつも通り、お伝えした。


 通常、ここで患者さんは退出するのだが、まだ何かをお聴きになりたそうだった。


 私が笑顔で

 「もう、こちらでの検査は終わりましたから、お帰り頂いて大丈夫ですよ」 …と言うと、その方が…


 「あの…突然、妙な事をお尋ねしますが、先生は、お付き合いされてる方…とか…いらっしゃいます?」


 ドキッ!


 な、な、なに? 今の言葉と、今の自分の状況が、頭の中で食い違いを起こしている! ここ、職場よね?


 「い、いえ、おりませんが…」…と、つい正直に答えてしまった!


 …話を聴くと、以前から私を、この近辺きんぺんでご覧になっていて、『良い娘さん』と、思っていて下さったらしいのだ。


 そんな折、先日、心電図エーカーゲーをおりした時に、更に好感をお持ち頂けたそうで、良ければ一度、息子さんに会って欲しい…との事だった。


 さすがに、これは想定外の出来事で、少し、考えさせて欲しい…とお伝えした。


 お電話番号を教えて下さり、取り敢えずこの場はお帰り頂いた…。

 

 …サ、サム! 聴いてたよね??

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