第2話 除外診断
検査が終わり、患者さんを待ち合いまで、お連れする。
この患者さんは紹介の
エコー検査室に戻ると、もう、結果が書き上がっていた。 さすがの
……結果を封に入れる時に目を通すと……
『Mamma Ca R/O』(乳がん 除外診断(要再検査))
…との記載があった。
「……今の
「そう。
……ショックだった。 横からエコー画像を覗いた程度で、他の作業をしていたとは言え、そんなに重度とは思わなかった…。
それより、
私、この封筒、あの患者さんに渡さなきゃいけないのに……。
……心の中で、サムに聴いた……。
私、どんな顔して、この封筒を渡せば良いかな?
「普通に渡せ……と言いたい所だけど、真優には荷が重いか……」
重すぎだよ。 だって、あの人……
「そうだな。 ……ただ、お前が心配しても何も変わらないよな? お前はただの技師だ。 先生みたいに治療も出来なければ、看護師みたいに緩和ケアも出来ない」
……。
「今、お前に出来る事、いや、お前がしなければならない事は、あの患者さんに、結果を悟られない事だ。 これは、場当たり的に、検査する事しか出来ない道を選んでしまった自分の『
グッと
待ち合いでは、
「お待たせしました。 ではこちらを高橋医院さんに持って行って下さいね。」 と、顔を合わせないようにしながら一礼して帰ろうとすると…
「あ、あの……」
「は、はいっ」
殿舞池さんと目が合ってしまった。
「……あの、わたし……ガン……じゃ無いですよね……」
心臓が破れそうになった
……そうだ、これこそが試練……何も考えず、マンガ家なんかに憧れて、腰掛けのつもりでこの仕事に就いてしまった私の償い……だ。
「私たちは、もし何も無かったとしても、言えない規則なんです。 高橋先生からお聴き下さいね」 …と笑顔で言った。
マスクしてて、良かった。きっと歪んだ笑顔だっただろう……。
その日の夕方、私は親友の
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