第4話 苦行

 「ま…ゆ…」


 …美緒みおの病室から、声がした。廊下の手摺てすりに、つかまり立ちをしている。 …お母さんと私は、慌てて美緒に駆け寄った。


 美緒は私の手を、さっきより強く握ってくれた。 …言葉こそ無かったが、美緒の目は力強さを取り戻していた。


 そののち、美緒たちは再びカンファレンスを行った。 今度は、美緒も含めた会議だ。 そして、その場ではっきりと、どんな治療も受けるから…と、治療の継続を懇願したそうだ。


 幸い腹膜転移が無かったので、胃の全摘、術後の化学・放射線治療など、つらい治療も耐えてくれた。…私も、時間がある時は、必ずお見舞いに行き、その度に、サム君にも会わせてあげた。



 そして…


 今日は、美緒の結婚式。 私は新婦の友人代表という大役をおおかった。ガッチガチに緊張したが、まあまあ成功した。


 ブーケトスは無く、皆さんの前で綺麗なブーケを渡してくれた! 割れんばかりの大拍手に包まれ、恥ずかしかったけど、嬉しかった〜。


 美緒のお父さん、お母さん、本当におめでとうございます。 …そして、美緒! 良かったね、おめでとう! お幸せに!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る