第6話 『サム』

「なんだ、また悩んでんのか?」


 サム……。 私、どうしたら良いかな?


 今日は技師長も居ないし、こんな日に、とんでもない事しちゃった。


「……そうだな。 仮にも、お前はプロだからな」


 でも、この仕事は、本当にやりたくてやってるんじゃ無いんだよ!


「そんなの、知ったこっちゃない。白衣ケーシー着て院内をフラフラ歩ってりゃ、患者さんにとっては『先生』だ。 お前の本心が何だろうと、患者さんにとって、お前は『治してくれる先生』なんだぜ」


 ……。


「さあ、顔洗って、先輩に謝って来い」


 ……む、無理だよ。……今更どんな顔して先輩に会えば良いって言うの?

 



 ……サムは、答えなくなった……。また孤独感が私を包み込む……。



「こら、はるか! いつまでそうしてんだ?」


 ……突如、大声が響く! この声は……深田先輩だ! 


 ドアの鍵を開け、しぶしぶ個室から出た。


 そこには、既に普段着に着替えた深田先輩が立っていた。

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