第一章 推しとの運命の出会い!?

第1話 

「君ーをー愛してるさー♪」

イヤホン越しに聴こえる推しのパートに胸が高鳴る。

「はああっ!蒼君!かっこいい!世界一かっこいい!」

スマホの画面から見える蒼君のダンスはとにかくかっこよすぎた。


私は電車に揺られて鞄を膝に置いている。

学校に行くための駅の登校は暇なため、こうして趣味で音楽を聴いたりする。


(それにしても今回の新曲、蒼君が一番目立ってるし見せ場の所も蒼君が担当してる!最高っ!)


握手会、行きたいな。

早く、グッズを販売してほしいな。


そして ライブ へ・・・・・!


「まーた結愛ったら蒼君のシュシュつけてるー」

「だって好きなんだもん!」

はあと親友の音瀬おとせ琴葉ことはが呆れるようにため息をつく。

私は机に肘をつけて頬を膨らませた。


私は手首に青色の蒼君のシュシュを毎日つけている。

シュシュはシンボルのようなものなので、つまらない授業時間はシュシュを見つめて

蒼君を思い出す。

すると、不思議にやる気が出てくるのだ。


(これぞっ・・・・蒼君パワー・・・・・!)


「良いことだとは思うけど、校則違反なんだから。あまりつけていかない方がいいよ」

「校則違反だろうが知ったこっちゃない!私は蒼君が好きだからつけているのー!」

「それで何回も先生に呼び出しくらったでしょ」

ご最もだ。

しっかり者の琴葉の言う通り、これまで、先生からの怒声を鼓膜が破れるほど受けてきた。

だがしかし、私は蒼君の為なら説教でも何でも構う事が出来る。


「ああ!蒼君!大好きだよ!早く会いたいー!」

「その言葉、電車の中でも言ってたでしょ!」

琴葉がビシッと指を指す。

「あーっ!そういえば!」


『はああっ!蒼君!かっこいい!世界一かっこいい!』


恥ずかしい。

非常に恥ずかしい。

「もう、公共の乗り物なんだから。」


ホームルームの時間を知らせる合図が鳴った。


(後でまた新曲を聴こう!)

そう思い、スマホをブレザーのポケットの中に滑り込ませた。


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