第27話 戦闘(2)

「デコル君……気をつけて。こいつの話が本当ならこいつは『極点』。戦闘系じゃなくとも強敵なのは事実……。正直私がかばう事も出来無いかも……。だから……ここは私に任せて早くデーブルの秘密を暴いて…。多少の殺人なら君のお姉さんの力でもみ消せる…。行って!」

「ッ!はい!」

シャルルさんが鬼気迫った表情をしていた…。あのシャルルさんが……。

僕は訓練の近接戦闘で一度も攻撃を当てられた事がない。『分解』を使っても。


そのシャルルさんがかばえ無いと言うのだから相当な腕のはず。

なら僕が取る選択は一つ。


早く任務を遂行し、全力でこの場から去る!あいつを倒す必要は無い!


「(急げ…!シャルルさんの負担を少しでも減らすんだ!)」


「それは困るねぇ…。俺に与えられた任務はいくつかあるし、そこも守れって言われてるしなぁ…。どうしようかねぇ。」

「させない。」

ガキン!キィン!カァン!

金属がぶつかり合う音がする。怖い。ついこの前まで貴族としてぬくぬくと生きてきたのだ。こんな状況に出くわした事なんて一度もなかった。


人間のここまで緊迫した状況に、僕は立ち会った事がないのだ。圧倒的にだめだ。僕には精神的にきつすぎる。


けど…。


シャルルさんを助けなきゃいけ無いから……。


僕は頑張らなくちゃ!


僕は覚悟を決め、資料にあった“隠し部屋”に入る事にした。


「『分解』!」


ドアを無理やりこじ開ける。


「じゃあ僕行ってきます!シャルルさん!気をつけて!」

「………!うん…!頑張って!」

僕は駆け出した。

_______________________________

「不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い!こんな事ォォォォォォ!フザケルナァァァァァ!!!あぁぁあぁぁあぁあぁあぁぁぁぁあああああ!!!!」

奥の部屋に行ってみると叫び声が聞こえた。この声は……デーブルなのか…?僕は奥の方を覗いてみた。


「うッッッッッッッ⁉︎⁉︎」

そこには…………………





無残にも残虐に殺された人間たちの残骸が残っていた。処理もされてい無いので、腐敗臭が凄い。

息が自然と荒くなる…。

怖い、怖い怖い!何で……?一体ここで何が起こっているの……?


「ぅうあああああああああ!!!!何故ダァ!何故儂は『極点』になれんのだぁぁぁぁああああ!早く……早くしなければ奴らが来るのにィぃぃぃぃぃいいいい⁉︎うわァァあああああ!!」


なんなんだ…あれ…⁉︎何で人が死んでいる状況でこんな…………!止めなきゃ……!絶対にここで止めなきゃいけ無い奴だ!


「………!!!そうかぁぁぁぁぁぁ……。『極点』を殺せば、儂も『極点』になれるのではないのかぁぁぁぁ?そこのガキを殺せばなぁっ!隠れておるのはわかっておるのだ!殺さねば……殺さねばァァァッァッァェぇッァッァァァァ!!」


⁉︎気づかれた!


「なら……帰り撃ちにする!『分k」

「『ファイアスピアー』!」


「『分解』っ!」


ギリギリのところで分解する対象を切り替える。


「『アイスランス』!『ウインドカッター』!『ウッドハンマー』!」


「っ!『分解』!」


攻撃のスピードが早すぎて攻撃できる気がしない!分解すれば魔法攻撃などは魔素というものに『分解』される……。それがあたりに充満してきた。この魔素というものは恐ろしいもので過剰に摂取をするとか、内側から破壊され死に至るか…という大変危ないものらしい。


「これを利用すれば………けど、もしも…。」

もしもデーブルを殺してしまったら。


その事を考えると急に体が動かなくなった。


「はっはっは!これで儂も『極点』の仲間入りじゃぁああぁぁあぁぁぁぁあぁ!」

「くっ!」

急に近接戦闘を仕掛けてきた!幸い、体型が体型なので俊敏な動きはできず、かなり単調な攻撃だが…この距離は……不味い。


「喰らえ!『フレイムボール』!」

「『分解』!」

「ヌウゥゥゥゥ!小賢しい奴めェ!これだから調子に乗った貴族は嫌なんだぁぁ!」


くそぅ、辺りが魔素だらけだ…!仕方ない……。これだけはしたくなかったけど!やるしかない!

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