第581話 のんびり山歩き
「じゃ、のんびり行こうか」
「はぃ」「ワフ〜」「〜〜〜♪」「は〜い」
天気もいいし、久々に山歩きをしようということで、展望台経由でトゥルーたちのところへ行くことに。
転移魔法陣が置きっぱなしなので、それを使えば一瞬なんだけど、俺とルピ、ラズはちょっとオパール鉱床を見に行こうかなと。
かなり希少な宝石だし、あそこは掘り尽くしちゃう可能性もあるので、まずは様子見にってところ。
「アルテナちゃん、大丈夫ですか?」
「うん!」
「リゲル、頼んだよ」
「ブルルン」
ミオンと白竜姫様にはリゲルに乗ってもらって、エルさんとシャルでサポートについてもらう。
展望台のところでお墓参りのあとは、俺とルピたちとラズは別行動。レダとロイの家族に会ったあとでオパールの洞窟へ行く予定。
「あ、そうだ。お酒ってもう運んでくれたんですよね。ありがとうございます」
「いや、気にしないでくれ。アズール様もバーミリオン様も、アージェンタ様も欲しがっていたからな」
「あはは……」
それぞれ、好きなお酒の樽を3つずつ。さらに死霊都市のゲイラさんたちのために、ワインを5樽運んでくれたらしい。ホント助かります。
「エメラルディアさんにも何か送らないとですね」
「そうだね。明日はいったんこっちに来てもらってかな? ワールドクエストも落ち着いたし」
そういえば、エメラルディアさんはまだトゥルーたちと会ってないんだよな。
ちょうどいいタイミングだし、港でライブをやって、その前に顔合わせでいいか。
………
……
…
ミオンたちとは展望台を降りたところで別れ、いったん南側へと降りてきた。
すぐにドラブウルフたちが合流して、一緒にクレフォール(わさび)探しを。
無事、そこそこの数を採集できたので、小さい滝を降りた所でひとやすみ。
「これ、食べてみて。結構硬いから気をつけてね」
「ワフ」
「バウ!」
おやつに作ってきたジャーキーは、ホガニーブルから取れた肉のうち、すじ肉っぽいところを使ったやつ。
なかなか噛みごたえがあるんだけど、しっかり噛みちぎって美味しそうに食べてくれている。
そういえば、建国するとドラブウルフたちも増えたりするのかな? 増えてくれると嬉しいけど……、住む場所が足りなくなったりしないのかな?
「ワフン」
「うん、そろそろ行こうか。あんまりのんびりしてると、オパール見にいく時間なくなっちゃうもんな」
時間は午後9時を回ったところ。10時過ぎには港についてないと、ミオンたちが心配するだろうし。
展望台下まで戻ったところで、南側のドラブウルフたちとはお別れ。
オパールがある洞窟へと向かう途中で、今度は東側のドラブウルフたちと合流。
「道案内おねがいな」
「ワフ」
「バウ!」
ここのところ行ってなかったからか、また雑草が生い茂っちゃってる。
一回、きっちり雑草を抜いてから、石畳を敷いたりした方がいいかなあ。
「おっと、あかりを」
光の精霊にあかりをお願いするのも久しぶりな気がする。最近はスウィーたちに頼りっぱだったし。
「さて、ラズ、お願い」
「クルル〜♪」
ずっとフードの中でのんびりしてたラズに、オパール鉱床をチェックをお願いする。
肩に乗って頬擦りをしてから、腕をつたってするすると地面に降りるラズ。
「ル〜クル〜♪」
楽しそうに歌いながら機敏に走っていくラズを、ルピたちと早足で追いかける。
左右の壁にいくつかオパールの採掘ポイントがあるけど、そっちは全部スルーして奥へと進んでいく。
「クルル!」
「お、これか。さんきゅ」
ツルハシとカナヅチを使って慎重に掘り出す。
まわりも含めて拳大の塊を掘り出したところで鑑定。
【希少なオパール原石】
『加工により宝石となるオパールの原石。遊色部分が多く希少。
石工:オパール宝石へと加工可能』
「よし。ありがとな、ラズ」
「クルル〜♪」
お駄賃がわりのオーカーナッツを渡すと、それを両手に持って、またフードの中へと戻っていった。
「ルピたちも付き合ってくれてありがとう。じゃ、港へ行こうか」
「ワフ」
「「バウ!」」
………
……
…
「今日のオパールは売りに出すんですか?」
「いや、これは白竜姫様用にかなって。ミオンとおそろいが似合うんじゃないかなって思って」
ミオンがみんなの服を作ってくれてるのは知ってて、俺はもう裁縫や染色は任せちゃってるからいいんだけど、俺は俺で何かしたいなっていう。
おそろいなら素材さえ揃ってれば、自作複製ですぐ作れるし。
「嬉しいです!」
スウィーには前に『癒しのイヤリング』を渡して、腕輪としてつけてもらってるし、トゥルー、パーン、シャルには武器を渡したりしてるからなあ。
パーンの鍬とシャルの
「そっちはどう?」
「これを作ってました」
「お、カムラスのコンポート」
スウィーたちにせがまれて、白竜姫様たちと採りにいったと。
で、さっそく作って欲しいって言われてっていう……
「一つもらうよ」
「はぃ。あーんってしてください」
「う、うん」
差し出されたそれをパクッと一口。
「美味しい」
「良かったです」
ほっとしてるミオンだけど、スウィーや白竜姫様も美味しそうに食べてるし、やっぱりコツを掴むのがうまいよな。
「あれ? そういえばトゥルーたちは?」
「あ、お魚を取りにいったので、もうすぐ戻ってくると思いますよ」
じゃあ、先に料理の準備をしておくかな。
そろそろ煮付けとか作りたいけど、やっぱり醤油が欲しいよなあ。
サバナさんの島にあるハクって、もう見つけられたのかな?
『急にごめんなさい。ちょっといいかしら?』
「ぁ、部長」
「どもっす。なんかありました?」
『南の島でコボルトたちが活発化してるって連絡があって、私たちは王国に戻ったばかりで詳しいことはわからないのだけれど』
「「え?」」
うわー、マジか。定期的に襲撃があるって言ってたもんな。
まあ、明日の昼にセルキーの里の神樹を通って、エメラルディアさんを迎えに行くつもりだったし、その時にガジュに話を聞くことにしよう。
『お願いね。何かわかったら教えてちょうだい』
「了解です」
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