月曜日

第568話 島の新たなスイーツ誕生?

「できたの〜!」「〜〜〜♪」


 放課後。

 IROにログインすると、白竜姫様とスウィーがミオンへと突撃し、腕を引っ張って白竜姫様の部屋へと連れていく。

 何ができたんだろうと思ったら、


「おお、すごい!」


「上手ですね!」


 ステンドグラスの型を取った板の上に紙が敷いてあって、そこには色水で描かれたたくさんの花が。

 どれも裏庭にある花なんだろうけど、うまく特徴を捉えてあっていい感じ。

 これ二人で考えたのかな? ミオンやエルさんがアドバイスしてくれたのもあるんだろうけど。


「じゃ、これで作るよ。出来上がったら見せるね」


「うん!」


 問題はガラスの色数が足りるかどうかってところだよな。

 最悪、足らない色については、追加で廃棄ガラスの募集かけないとかもなあ。


「おやつにしましょう」


「おやつ〜♪」「〜〜〜♪」


 エルさんにテーブルの準備をお願いして、俺とミオンでおやつの用意を。作り置きのクッキーでいいかな。

 そういえば、昨日はバナナの話をした後、それ以外の南国フルーツもあるといいなあって話をした。

 パイナップルとかキウイとか、やっぱり南の島だと夏のイメージだけど……


「秋のフルーツってなんだろう?」


「えっと……、栗とかお芋でしょうか?」


「あ、確かに。最近食べてなかったし、今度、ラズたちに手伝ってもらって、マローネの実を集めようか」


「いいですね」


 あとモーブプラがサツマイモだったし、そっちはいいとして、あとは……


「そうだ。梨ってIROに存在するのかな?」


「ぁ、聞いたことがないです」


「あとでベル部長に聞こうか。梨のコンポートとかも美味しいもんね」


 話してると食べたくなってきた……

 この前、スーパーで見かけたし、今度買って帰ろう。


「今度、うちで作ってくださいね」


「うん、次の日曜にでも一緒に作ろうか」


 ………

 ……

 …


「えーっと、次はこれが一番近いか」


 白竜姫様とスウィーが描いた下絵を見つつ、色があってそうなガラス粒を探す。

 今のところ、いくつか足りない色があるんだけど、まずはある分を作っていくことに。


「白い花弁の部分はどうしますか??」


「あ、うん。それはこれを混ぜてみようかなって」


 前に依頼で受け取った水晶原石。

 これの少し白みがかったやつを、


「<粒化>」


「水晶で表現するんですね」


「うん。スウィーの羽を作ったときにうまくいったからね。<晶化>っと」


 うんうん、いい感じ。


「バッチリです!」


「良かった。これ以外の方法思いつかなかったんだよな」


 手に取ってかざしてみると、いい感じに光が透けて綺麗に見える。

 これ、水晶以外の鉱石でもいけるのかな?


「どうしました?」


「いや、これ、オパールでやったらどうなるんだろうなあって」


「えっと、もったいなくないですか?」


「あはは……」


 まあ、わざわざ高価な宝石でやる必要もないか。

 それに、ラズが選んでくれた希少なオパールだと、せっかくの遊色部分が消えてなくなっちゃいそうだもんな。


「でも、やっぱり赤と黄色が問題かな、これ……」


「いただいた物にも無いみたいですね」


「だね。そもそも流通してないのかな?」


 そんなことを話してると、


〖ワールドクエストが更新されました!〗


「「あ」」


 何か大きな動きがあったっぽい?

 まずはワールドクエストの確認を。


【ワールドクエスト:悪魔が来たりて】

『魔王国に侵入した悪魔はマーシス共和国や死霊都市へと潜入。さらにパルテーム公国やウォルースト王国へ向かう姿も目撃された。

 一部、死霊都市から離島へと潜入した悪魔がいたが、これを排除することに成功。

 また、捕獲された悪魔から得られた情報により、奴らが魔石を集め、それを大きな魔晶石として再利用しようとしていることがわかった。

 思った以上に魔石の確保ができなくなった悪魔は、魔王国南部にある古代遺跡を最後の目的地と決めたようだ。古代遺跡を守るため、残る全ての悪魔を討伐せよ。

 目標:侵入した悪魔の討伐、および、目的の調査:90%』


「おー、一気に進んだなあ」


「ショウ君のおかげですね」


「うーん、それを言うと、今回はサバナさんのお陰かもね」


 例の件は、サバナ島襲撃事件って呼ばれるようになったらしいけど、あれがきっかけだった気がするし。


「リュリュ〜」


「あれ? パーンかな」


「みたいですね」


 ステンドグラス作りはいったん休止して、声が聞こえてきた裏手へと。

 パーンの方から屋敷に来るのは珍しいし、何かあったのかな? 切羽詰まったような声じゃないから、大丈夫だと思うけど……


「パーン、どうしたの?」


「リュ〜」


 とドヤ顔で竹籠の中身を見せてくれる。


「おお! アズキ! これ、栽培したやつ?」


「リュ!」


 もちろんと胸を張るパーンの頭を撫でる。

 こんなにたくさん採れるなら、これからはあんこを使ったスイーツも作れそう。


「今からお料理しますか?」


「うーん、夜にするよ。アズキからあんこを作るのって手間がかかるし、最初は慎重にやりたいから」


「ぁ、そうですね」


 ばあちゃんが「渋きり」って言ってたゆでこぼしをやらないとだし、アク取りも大変だし、ずっと見てないとなんだよな。

 しっかりと美味しいあんこを作って、まずはあんバタートーストでも作るかな?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る