日曜日

第518話 歓迎、キジムナー御一行様

「準備はオッケー?」


「ジュ!」「「「ジュ〜!」」」


 ガジュを含めて、キジムナー6人が俺の島を見学に来ることになった。

 トゥルーの提案でお願いされてたことだけど、いろいろ重なってやっとなのが申し訳ない。


「お待たせしました」


「〜〜〜♪」


 ミオンがスウィーたちにせがまれて、アームラ(マンゴー)の実をもらいに行ってたんだけど……たくさんもらってきたんだろうなあ。スウィーが満面の笑顔だし。

 その代わりと言ってはなんだけど、シャルたちが増やしたヤコッコ&ヤコックのつがいを二組連れてきてプレゼントした。

 これから増えていけば、キジムナーたちも卵料理を食べられるようになるはず。

 沖縄合宿の時に食べたゴーヤチャンプルーが美味しかったんだけど、ゴーヤってこの島にないのかな?

 ああ、あと豆腐作ろうと思って忘れてる……


「じゃ、行こうか」


「はぃ」


 神樹は来る時は山小屋の神樹からだったけど、今度はセルキーの里の神樹へと繋いでもらう。


「〜〜〜♪」


「さんきゅ」


「ワフン!」


 一番はルピで、俺とラズが二番手。

 ガジュとキジムナーたちが続いて、シャルたち、ミオン、フェアリーズ、スウィーと順番に。


「キュ〜♪」


 神樹を出たところで、待ち構えてたっぽいトゥルーに飛びつかれた。


「久しぶり。ちょっと待ってな」


 後ろから来てるガジュたちのために、トゥルーを側に下ろして道を開ける。


「ジュ〜♪」


「キュ〜♪」


 両手で握手し、その手をぶんぶんと振って喜ぶ二人。

 続いてきたキジムナーたちも、セルキーたちとハイタッチして楽しそう。


「ショウ君」


「うん。<召喚:リゲル>」


 少し離れた場所でリゲルを呼び出す。

 今まではこっちに来れなかったけど、召喚魔法のおかげだよな。


「ブルル」


「ワフ」「クル〜♪」


 しっかりルピとラズに挨拶してから、あたりを見回すリゲル。

 いきなり知らないところに来たわりには落ち着いてるな。


「ジュ〜!」


「リゲルだよ。大人しい子だから、怖がらなくても大丈夫」


「ブルルン♪」


 驚いてるガジュたちにリゲルを紹介。

 トゥルーやシャルたちとしばらくここで遊んでてもらってて、


「じゃ、行こうか」


「はぃ」「ワフン」


 その間に小型魔導艇を取ってこようかと。

 せっかくなので、キジムナーたちを乗せてあげて、ぐるっと時計回りにスタート地点の砂浜まで行ってみる予定。

 地図的にはわかってる範囲だけど、実際に行ったことはないので、ついでに軽く見てこようかなと。


「船、楽しみです」


「今日のコースでモンスターは出ないと思うけど、一応、気をつけてね」


「はぃ」


 セルキーの里から港を経て灯台裏へと。

 そういえば、聞いておかないといけないことがあった。


「ニーナ。重銀鋼インゴットができたんだけど、この船を直すのに使う場合って、どこかに置いておけばいいの?」


[はい。現在のフロアに置いていただければ対応可能です]


「りょ。今度また持ってくるよ」


 ちょっと運ぶのが大変だけど……って、


「ショウ君。ここに……」


「転移先をだよね?」


「はぃ」


 測位の魔法を唱えて位置情報を取得。これを『魔導艇乗り場』で登録っと。

 空間魔法のスキルレベルと同じだけ登録できるので、あと2つまだ空きがある。


「よし。じゃ、乗り込んで」


「はぃ」「ワフ〜」


 ………

 ……

 …


「順番にね」


「「「ジュジュ〜!」」」


 セルキーの里の砂浜に上陸した小型魔導艇にガジュたちが大興奮。

 さっそく乗り込んでいざ出発の前に、


「じゃ、1時間ぐらいで戻ってくるので、あとは任せたよ」


「ニャ!」「〜〜〜♪」


 スウィーたち、シャルたち、レダ、ロイ、ラズ、リゲルには待っててもらうことに。

 さすがに全員は乗れないし、リゲルのことを任せられるのはシャルたちしかいないので。

 小型魔導艇には俺、ミオン、ルピ、トゥルーとお付きの2人に、ガジュたち6人。うん、ギリギリだな。

 ガジュたちが泳げることは知ってるけど、


「ガジュ。手を出して」


「ジュ?」


 軽くハイタッチして、うん、アライアンス完了。

 俺とミオン、ルピ、トゥルーたちの6人と、ガジュたち6人のパーティーでアライアンスを組んだわけだけど、


【キジムナーの首長の加護】

『幸蓉樹の妖精キジムナーは善き友に力を与える存在。その首長の加護は大いなる力を与えてくれる。樹の精霊魔法の消費MP10%減少。鑑定スキル+1、真贋スキル+1』


「すごいです!」


「ガジュも長だもんなあ」


 パーティリーダーが特殊なNPCだった場合に、何かしらの加護が付くって話は本土でも知られてるけど、やっぱりスウィーやガジュはすごい。


「ジュ?」


「ああ、ごめんごめん。じゃ、出発!」


「「「キュ〜!」」」「「「ジュジュ〜!」」」


 ………

 ……

 …


「おー、あの崖って、最初の頃に行った場所かな?」


「はぃ」


 南の砂浜から東側へ向かって崖から見た景色がすごかったやつ。

 あれって、部室で初めて島を見せた時だったかな?


「キュ〜!」


「ジュジュ〜!」


 喫水部分がないホバークラフトみたいな小型魔導艇なので、岸からほどほどの距離で移動できるのが嬉しい。

 崖を見上げるトゥルーやガジュたちも、すごいすごいと楽しそう。


「上陸するよ」


「キュキュ〜」


 山小屋に移り、お屋敷に引っ越してからは、久しぶりな気がする砂浜。

 速度を落としてゆっくりと上陸……の前に、トゥルーたちが海へと飛び込んでいく。


「ジュジュ?」


「ガジュたちは少し待ってね」


 海中の安全を確認してくれてるみたいなので。

 まあ、この辺は俺も何度か潜ったことがあるし、大丈夫だろうとは思うけど。


「よし、到着。降りていいよ」


「ワフ!」「ジュジュ!」「「「ジュ〜!」」」


 今日はここで海産物探しをしつつ、白竜姫様とエルさんを待つことになっている。

 ああ、そうだ。ずっと逃してばかりだったエビをトゥルーたちに捕まえてもらおう。

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