第490話 白馬の王子様?
「えっと、おかわりが欲しいならついてきて。って通じるのか?」
「クルル〜♪」
「ブルル」
すぐにラズが通訳してくれたっぽい。相性がいいのか、俺の肩からジャンプして、フロスティグラニの頭に乗った。
とりあえず、ミオンのところへ戻ろうと歩き始めると……、ちゃんとついてきてくれてるな。
「ミオン、ただいま」
「ぁ、ぉかえりなさい。ぇっと、その……」
そりゃ驚くよな。
シャルも若干身構えてるし、クロはミオンにぴったりくっついてるし、スウィーは……平気っぽい。どっちかっていうと興味津々?
「この子、なんかお腹空いてるみたいなんだけど、手持ちの果物とかある?」
「は、はぃ」
ミオンが出してくれたのは、完熟アームラの実3つ。
スウィーがごねるかと思ったけど、またもらいにいけばいいしとオッケーしてくれた。いや、タダでもらうんじゃなくて、交換だって教えておかないと。
「これで最後ね」
「ブルルル♪」
さっきのよりも気に入ったのか、これまたペロリと平らげる。
で、やっぱりっていうか、ネームプレートが緑に【フロスティグラニ:NoName:友好(テイム可能)】と変わっていて……
「ショウ君。その子をテイムするんですか?」
「うーん、どうしようかな。ここから連れて帰って窮屈な思いをするのは本末転倒な気もするし……」
教会の横に馬小屋はあるけど、そこでじっとしてるってのもストレスだろう。
俺がいない間、シャルたちに面倒を見てもらう手もあるけど……
「クロちゃんたちの森に住んでもらうのはどうでしょう?」
確かにそれならありなのかな。いや、まずはクロに聞かないとだよな。
「クロはこの子が森にいてもいい?」
「ゥゥ。ゥゥゥ」
クロたち的には、自分たちが採集するハーブとかを食べ尽くしたりしなければオッケーらしい。
よく食べる子っぽいけど、パーンやクロたちのおかげで畑も増えたし、そっちは問題ないはず。
あ、そうだ!
「ミオンは調教スキル取るつもりはない?」
「ぇ? ぁ……」
今なら、ミオンが調教スキルを取ってテイムできるような気がするんだよな。
俺の提案に少し考えたミオンだけど、
「ぃぇ、やっぱりショウ君がテイムしてあげてください。私はこの先、ショウ君が取らないスキルを取りたいです」
「りょ。確かにその方が助かるか」
ギルド運営、会計、筆記あたりのスキルを取ってもらったのもあるし。
調教スキルはレアから落ちてアンコモンだけど、消費SP4はもったいないか。
ということで、
「じゃ、うちの子になってくれる?」
そう言ってたてがみを撫でると、
【テイムに成功しました。名前を決めてください】
あ、そうだった!
「ごめん、ミオン。名前、お願い」
「ぇ、えっと……、リゲル君でどうですか?」
「おっけ。じゃ、リゲル、よろしく」
さすがミオン。いい感じの名前をすぐに思いついてくれる。
後で聞いたら星の名前だそうで、オリオン座の白く輝く星の名前。ベテルギウスなら知ってたんだけど、あれは赤かったもんな。
「ブルル〜♪」
嬉しそうに目を細め、頭を寄せてくれる。
【フロスティグラニ:リゲル:親愛:自由行動】
「よし。えっと、リーダーはルピだから、そこはしっかり守ってな」
「ワフン」
「ブルルン」
納得してくれたようで何より。
ルピより体は大きいけど、普段はおとなしい性格みたいだから、心配するほどでもないかな?
「ゥ、ゥゥ」
「ああ、ごめん。ここで話してるのは不用心だな」
午後10時を回ろうかというところなので、今日のところはここまでとして帰ることに。で、当然、また川を渡らないとなんだけど、
「リゲルは渡れる?」
「ブルン」
もちろんとルピの後を普通についていく。
そんなに深くない場所だからか、ざぶざぶと横切っていっただけだな。
「ニャ」
「うん。最後はシャルに任せるよ。じゃ、えっと、ミオン?」
「はぃ」
まあ、期待されてたしということで、ミオンを横抱きに抱え上げる。
これってゲーム内でSTRあるから平気なんだろうけど、リアルでやると大変なんだろうなあ。……ちょっと鍛えといた方がいいのかな?
「よっと」
これで飛び石を踏み外して、2人ともずぶ濡れはカッコ悪すぎるので慎重に。
足元が見えづらいの結構怖いな……
「ラストっと。ふう……」
「〜〜〜♪」
スウィーがよくやったと拍手してくれる。
「ブルル?」
「ん? ああ、リゲルにミオンを乗せれば良かったのか……」
体格もいいし、軽いミオンなら余裕だろうし、そっちの方が良かった気がするけど、それはそれで……期待を裏切るのもどうかと思うし。
「ぁの、ショウ君が乗ってるところを見たいです」
「いや、俺、馬に乗ったことないんだけど……ってスキルがあるんだった」
えーっと、乗馬スキルはと……あった。アンコモンスキルなのか。馬車に乗ることはあっても、馬に直接乗ることは少ないからかな?
まあ、俺はSP潤沢に余ってるし、今後のことも考えて取っておいて損はないはず。
「じゃ、乗馬スキル取ってみるよ」
「はぃ」
ポチッと取ってSPを4消費。スキルレベルは当然1。
でも、リゲルにどうやって乗ればいいのかはわかった。
「リゲル。乗ってもいい?」
「ブルルン♪」
もちろんとオッケーをもらったので、スキルアシストに従って慎重に。
「おおお、なんか思ってたより高い……」
いつもより1mは視点が高いのかな?
けど、何も掴まる場所がないのが怖い。たてがみを持つわけにもいかないし。
やっぱり馬具を作った方がいいな。鞍と手綱とあぶみだっけ?
というか、メイン武器を良くするための素材も依頼でゲットできてるし、明日にでも作ろう。
「ショウ君、かっこいいです!」
「いや、俺は逆にかっこ悪い気がしてるんだけど……」
乗ったっていうよりも、乗せてもらった感が半端ない。
やっぱり鞍に乗ってあぶみに足を置き、手綱を引いた格好じゃないとなあ。
「じゃ、ゆっくり帰ろうか。ルピ、先頭お願い」
「ワフン」
俺が乗ってミオンを歩かせるのもなんだけど、それはまた鞍を作って乗りやすくなってからにしよう。
こう、かっこよく二人乗りとかしてみたいけど、まずは自分の乗馬スキルを上げないとだよな……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます