第467話 南の島ツアー計画中

 夕飯を終えて、洗い物も終えて、バーチャル部室へ。

 真白姉と美姫は先に部室に来てたはずだけど……


「ショウ君」


「ミオン。美姫と真白姉来なかった?」


『あ、はぃ。来てすぐに、部長とIROに行きました』


 ベル部長、休むかもとか言ってたけど、しっかり来てるじゃん。にしても、3人そろってIRO行っちゃったってのが、ちょっと不安だけど。


「何か言ってた?」


『お義姉さんとシーズンさんが、いったん王国に戻るそうです。なので、部長とセスちゃんも今日は王国へ戻ると』


「ああ、そういうことか」


 今週頭からずっと死霊都市にいたので、報告も兼ねての帰国らしい。

 蒼竜アズールさんと知り合いになったことも、アミエラ子爵に報告しないとか。


「じゃ、俺たちも行こうか」


「はぃ」


 今日は俺たちも自分の島でのんびりかな。


 ***


「スウィーちゃんたちと、庭のお手入れをしてきますね」


「〜〜〜♪」「「「〜〜〜♪」」」


「おっけ」


 今週は南の島にかかりっきりだったからなあ。

 俺もぐるっと見回りに行くか。


「ルピ、レダ、ロイ。見回りに行こう」


「ワフ!」「「バウ!」」


 南側をぐるっと回ってくる感じで、途中でパーンとシャルに会えたら誘っていこう。


「ラズはどうする?」


「クルル〜♪」


 マローネの実を採りに行きたいらしく、ミオンの肩へと駆け上がっていった。

 じゃあ、今日は狩りがメインで、ルピたちと体を動かしてこよう。


「いってきます」


「はぃ。いってらっしゃい」


 屋敷を出て、まずは教会へと。

 ケット・シーたちが教会の周りを掃除してくれてて、挨拶をしながら裏手へと回る。

 畑の世話をしてるパーンと、それを手伝ってるシャルが、俺たちに気づいて駆け寄ってくる。


「畑の世話、ありがとうな。今から南側ぐるっと見てくるけど、パーンもシャルも一緒に行かない?」


「リュ! リュリュ?」


「ニャ〜。ニャニャフ」


「あ、うん。行きたい子たち、みんな呼んできて」


 パーンはアームラの樹の生育が気になるようだし、シャルは罠が気になるってことで、連れて行きたいらしい。

 大所帯になるけど、それはそれで一気に食材が集まるので嬉しい。


「リュ!」「ニャ!」


 しばらく待つと、それぞれ5人ずつ同行することになったようで、パーンとシャルのところに集まってくれた。


「じゃ、出発〜」


「「「リュ〜!」」」「「「ニャ〜!」」」


 ………

 ……

 …


「お疲れ。ちょっと休憩にしようか」


「ワフン」


 ここまでの戦果、ランジボア、グレイディア×2、フォレビット×4、パーピジョン×3って過去最高かな?

 ルピ、レダ、ロイの連携もすごいし、その3人でシャルたちのところへ追い込む形の、まさに狩猟っていう連携。

 そのあと、砂浜をみんなで走り抜けてから、アームラの樹を植えたところまで来た。


「お、いい感じ?」


「リュ〜♪」


 こっちの島でも育つのか心配だったけど、問題なく根付いてくれてるようで何より。水の精霊に頼んで水やりをしてから、俺も休憩の輪に加わる。

 ルピたちにはランジボアの肉のいいところを、シャルとパーンたちには煮干しかとろとろ干しパプのどっちかで。


「そういえば、パーンはキジムナーたちの話って聞いた?」


「リュ」


「ニャ〜ニャ」


「ああ、シャルが話してくれたんだ。ありがとうな」


 昨日、南の島であったことはシャルから聞いていて、パーンもキジムナーたちに会いたいとは思ってるらしい。


「今日はこっちでのんびりして、明日に行こうかなって思ってるんだけど、パーンたちも一緒に行く?」


「リュ!」


「おっけ。じゃ、明日の……どうしようかな」


 トゥルーのところに行って、おみやげのアームラの実も渡したいけど、それならミオンも一緒にだよな。

 あれ? ミオンって明日は土曜だから、昼は習い事あるんだっけ? ギルドカード使って、ちょっと聞いてみるか。


「ミオン。今、いい?」


『はぃ。どうしました?』


「明日って習い事あるんだよね?」


『ぁ、いえ、おやすみです』


 今週末と来週末はおやすみで、収録がある前に一度ってことになってるらしい。

 まあ、教える先生にも夏休みがあるんだろう。


「じゃあ、明日の昼にトゥルーのところに行こうと思ってるんだけど」


『行きます!』


「りょ」


 通話を終えたところで、みんながそろそろって顔をしてる。

 あとは川のかご罠を確認してから屋敷へ戻るかな。

 あ、そうだ。南の島で手に入れたインゴットと、ポリモゴーレムの残骸を炉のところまで運んでおかないとだな……


 ………

 ……

 …


「ただいま」


「おかえりなさい」


「あ、ラケたちも来てくれたんだ」


「はぃ」


 屋敷へと戻ってくると、裏庭のお手入れにラケと数人のギリー・ドゥーたちが参加してくれていた。

 スウィーたちフェアリーズとあれこれ会話しながら、何かいろいろと植えているんだけど……


「あれ? これって新しい植物?」


「ラケちゃんたちの森に生えてるハーブだそうです」


「うわ! めっちゃ嬉しい!」


 ギリー・ドゥーたちが普段使ってるハーブで、ビリーフ(ローリエ)、チョウジ(クローブ)、ヴォルガレ(オレガノ)、バジルといったあたり。バジルは名前そのまんまなんだ……

 ま、これで香草焼きとかできそうだし、煮込み料理といえばローリエだよな。オリーブがあるし、バジルソースも作ってみたい……


「それで、あの、ラケちゃんたちも南の島へ連れて行きたいんですけど……」


「あ、うん、もちろんいいよ」


 人見知りであんまり森から出たくないのかと思ってたけど、ミオンとかスウィーが一緒なら平気って感じなのかな。


「じゃ、明日の夜は、行きたい子たちはみんな連れて行くでいい?」


「はぃ」


 明日の昼にトゥルーたちも誘うつもりなので、フェアリー、セルキー、ウリシュク、ケット・シー、ギリー・ドゥーと勢揃いになりそう。

 もちろん、ルピ、レダ、ロイにラズも当然一緒なわけで……


「大所帯になりそうだし、一応、ベル部長やアズールさんに確認取った方がいいか」


「そうですね」


 なんか30人ぐらいになりそうな予感。

 転移魔法陣、何回かに分けないと無理だよなあ……

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