第438話 あとはよろしくお願いします

「これらの依頼なんですが、受注希望者が多数の場合は抽選となります。手はずに関しては、死霊都市の出張所を管理してくれている竜人族の方々に従ってください」


『よろしくお願いします』


 受注詐欺? 受注転売? そういうのを避けるため、抽選への参加に竜貨を預ける必要があるという話も付け加えておく。


【キンコジ】「おけおけ、理解」

【フェル】「そんなリスク取るやついなさそうだけどw」

【マーシー】「抽選ありがとー。オークションだったら破産してたー」

【デイトロン】「<ナイス抽選!:5,000円>」

 etcetc...


 フルーツゼリーを食べながら、コメント欄が落ち着くのを待つ。

 依頼はあと1つ。ピアノの件。


『ショウ君。最後の依頼はピアノの修理ですよね』


「うん。これに関しては前から話してたことなんですけど、信頼できる人に任せたいということで、依頼先はもう決まってます」


『皆さんもご存知の「魔女ベル」さんのギルドにお願いすることになりました』


【ストライ】「うえー、マジかー」

【コックリ】「それなら安定だね〜」

【ラカン】「いいねいいね!」

【ナタイ】「手伝いとか無理?」

 etcetc...


 あー、やっぱり依頼受けたかった人がいるっぽいな。

 そういう反応があった時のことも、セスの方で考えてくれていて、


『修理の作業は死霊都市の一角でやってもらう予定です。見学もできるようにというお話を聞いていますが、詳しいことは明日の「魔女ベルの館」の配信をご覧ください』


 ミオンの説明でだいたい納得してくれるみたいでホッとする。

 まあ、難易度が高いせいで誰が受けてもプレッシャーになる依頼なので、受けるのにも勇気がいるという話らしい。

 で、有名なベル部長と『白銀の館』で引き受けてくれて助かった的な?


『依頼達成時の報酬をお願いします』


「うん。報酬なんだけど、島で見つかった転移魔法陣です」


【クサコロ】「はああああ!?」

【フェムラ】「マジで!!!???」

【マルサン】「えええええ!!」

【ババンバン】「えーーーーーーー!」

【ワサンコ】「な??!!」

【デイトロン】「<英断!!!:10,000円>」

【ガフガフ】「うおおおお!」

 etcetc...


 コメント欄が予想通りに、いや、それ以上に流れていって全然追いつかない。多分、ミオンも読めてないよなあ、これ。

 まあ、面倒臭そうなコメントがあっても、目につかずに済むってことで、今のうちにその理由も説明しておこう。


「なんで手放すのって話なんですけど、ずっと封印してるのもいろいろ面倒ですし、うまく活用できるプレイヤーさんに渡した方がいいかなって」


【ポルポール】「もったいなくない?」

【メイケ】「あー、変な人が来るよりはいい判断か」

【チョコル】「理解した。いろいろ面倒だもんね!」

【フォイフォイ】「ショウ君なら船もあるからいいっしょ」

 etcetc...


 ちらっと船って文字が見えたけど、小型魔導船で本土まではどうかなあ。

 かなり時間がかかりそうだし、その間にモンスター絶対に出てくるだろうし。


「どうしても島を出ないとって話になったら、アズールさんに運んでもらえるんで」


『シャル君たちも運んでもらってましたからね』


「そうそう。ちょっと怖そうだけど……」


 シャルが酷い目にあってたからなあ。

 あれは小型魔導艇に乗せられたのもあるだろうけど、俺が乗る時はちゃんと竜籠とかいうのにして欲しいところ。行く気はないけど。


【ウッピー】「ドラゴンタクシー!?」

【ケダマン】「え? じゃあ、ショウ君って竜の都にもう行ける?」

【ギガノト】「一度、本土に遊びに来て欲しい!」

【ドラドラ】「他の島も探せるじゃん!」

 etcetc...


「まあ、そんなわけで使ってくれる人に渡しちゃおうかなと。いろいろと調査が終わったら、報告もしてくれる約束なんで」


 その話でさらに盛り上がるコメント欄。

 合宿の時期の間に、古代遺跡をできるだけ探索しておきたいところ。


『ショウ君。あと15分なので、そろそろ質問の時間でいいでしょうか?』


「りょ。依頼のことに関しては、すでに依頼書を作っちゃったので、今後の依頼で対応とかになると思うけど」


 良くて報酬におまけを乗せるぐらい?

 それはいいんだけど、コメント欄が質問で埋まってて大丈夫なのかな、これ?


『えっと、この質問からにしますね。ルピちゃん、スウィーちゃん以外の木像も作りますか?』


「うん、それはもちろん。トゥルー、パーンも作るし、レダ、ロイ、ラズたちも作るよ」


 順番をどうするかが悩みどころだけど、港にいる間にトゥルーの木像には手をつけておきたいかな。


『自己複製でたくさん作ったりは?』


「うーん。いいけど、そればっかりも……」


 要求される数がすごいことになって、ずっと作ってることになりかねないし。って、そもそもこっちが依頼を出すだけのつもりだし。


【ジョント】「それで時間取られるのもね〜」

【モグリン】「模造品出そうじゃんねえ」

【ユノスケ】「ライセンス出すとかは?」

【ナンツウ】「ショウ君の複製じゃない一品物に価値があるからなあ」

 etcetc...


 ライセンス……って、うーん。そもそも、お金もらってもなあってのが。

 最初の一つを作ったあとは、俺じゃない人に作ってもらってもいいかなということで、次の質問へ。


『他に必要な鉱石ってありませんか? です』


「えーっと、金、銀、銅、魔銀ミスリル、軽銀はあるんで、それ以外の鉱石なら? 今回は重銀鋼っていう合金を作るために紫鋼鉱石が必要なんで」


『武器を新しくするためですよね?』


「そうそう。剣鉈、新しく作り直したんだけど性能が微妙で。それでちょっと別の重い金属で作ってみたいなと」


 その話にたくさんアドバイスが流れていくんだけど、どうやら俺が目をつけた紫鋼鉱石が一番良さそうな感じかな。

 硬くて重くてっていう武器、戦槌ウォーハンマーとか戦棍ウォーメイスなんかには最適なんだとか。


「ありがとうございます。それでいい感じの武器が作れたら、北端にある塔を目指そうかなと」


『島で行ってない場所も残り少なくなってきましたね』


【コクド】「ついに!」

【メッセレン】「夏のうちに行けそうだね〜」

【ヨンロー】「あ、管理者権限ある指輪とか欲しくないですか?」

【イザヨイ】「島を探索し尽くしたらどうするの?」

 etcetc...


 ああ、管理者権限がある指輪も、一般管理者のやつ『蒼雲の指輪』は割と余ってるんだっけ。でもなあ……


「指輪はあの塔までいってみて、それでも入れない時にぐらいで」


『まずはそこまで進まないとですね』


「だね」


 さて、そろそろ時間っぽいけど、今日は歌って終わりでいいのかな?

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