第412話 ゲーム内最強ソロギルド?

 なんとか無事、バックで洞窟を出ることに成功。

 ライブの残り時間はあと5分もないぐらいだと思うけど……


『ショウ君。視聴者のみなさんに相談しないといけない話が』


「え? あ、そうだった! じゃ、ちょっと延長入るかもだけど、帰りながら話すよ」


『はい!』


【シャルラン】「なになに? 重大発表?」

【アオイサン】「あ、ゴールインですか? おめでとうございます♪」

【スキンコ】「まさか建国宣言!?」

【ペイパー】「ドキドキ……」

 etcetc...


 ルピやトゥルーたちに引き続きの警戒をお願いし、小型魔導艇を回頭する。

 帰りはもっとスピード出しても大丈夫かな? 現実の船だとエンジン音とかでうるさそうだけど、この船は本当に静かに滑るように進むし。


「えーっと、何から話そうかな。あ、前に屋敷に壊れたピアノがあったけど、それは今、アズールさんに預けてあります。俺には直せそうにないんで」


『はい』


「で、もし、竜族のツテでも直せそうにないなら、本土のプレイヤーさんにお願いしようかと思ってて」


【アシリーフ】「ピアノ修理!?」

【ブルーシャ】「竜族からの依頼になるの?」

【ドウミン】「木工はあるけど壊したらと思うと……」

【フリテー】「いやもうこれ、リアル本職じゃないと無理じゃね?」

 etcetc...


 まあ、そうだよなあ。木工や工芸で直せるなら、俺でも直せそうなものだし。ピアノ線なんかは鍛治? 細工? さらに上位スキル?


「で、それはそれとして」


『はい』


「蔵の中を改めて調べて『魔導証明書管理機』っていうのを見つけたんだけど、それがどうやらプレイヤーズギルドのための魔導具っぽくて……」


『何も記されてないギルドカードもありました』


「なんで、俺もギルドを作れるようになりました」


 俺がそう話すと、コメントが滝のように流れ始め……うん、もう読めない。

 これってミオンは読めてるのかな? ヤタ先生がフォローしてくれてると信じよう。


『でも、まだギルドを立ち上げると決めたわけじゃないんですよね?』


「うん。で、さっきのピアノ修理と繋がるんだけど……」


【ディアッシュ】「ショウ君からのピアノ修理クエスト!」

【ウッピー】「ギルドの後ろ盾は竜族!?」

【カグリコ】「最強のソロギルド爆誕やで……」

【マスターシェフ】「ギルドの出張所どこになるんだい!?」

 etcetc...


 だから、みんな気が早すぎるんだけど!


「アージェンタさんの方で直せなかったら、ギルドを作ってちゃんとした依頼の形にしようかなって考えてます」


『はい』


「まあ、細かいことはもう少し先になると思うんだけど、ギルド立てること自体は……どう思います?」


【ガフガフ】「今作ろう! すぐ作ろう!」

【レーメンスキー】「大賛成! 反対する理由などないw」

【デイトロン】「<ギルド設立支援!:10,000円>」

【ミナミルゲ】「やりたいようにやりなさいw」

 etcetc...


 あ、良かった。というか、みんな賛成してくれるのは嬉しいんだけど、むしろ急かされてる感じが……


『まずはピアノが直るかどうかですね』


「うん。まあ、これだけ賛成してくれてるし、ピアノの件抜きでもギルド設立する感じにしようかな」


『はい!』


 そうなると、正式にアージェンタさんに了解をもらって、あとはギルド名を考えないとなんだよな。

 ……ミオンにお願いしよう。


 ………

 ……

 …


<はいー、終わりましたよー>


 ヤタ先生、ちゃんと見ててくれたらしい。ホッとする。

 時間は10分ほどオーバーしたけど、そこは許容範囲内だよな。


『ショウ君、お疲れ様でした。あの扉が開かなかったのは……』


「ミオンもお疲れ。グローブを外す時に指輪も一緒にね。権限がある指輪をなんで俺が持ってるの? って話になると困るし」


『さすがです!』


 今後もライブの時は外しておいた方がいいかもだよなあ。

 それか、どこかで見つけたことにした方が楽かな。屋敷の机にあったとかあたり?


<それよりもー、視聴者さんはクエストの達成報酬が気になってるみたいですねー>


「『あ!』」


 確かにクエスト報酬の話までできなかったからなあ。

 それもまあ、アージェンタさんと相談してかな? お酒は竜族の人たちやドワーフの人たちが欲しがるだろうし。


「ワフ」


「お、灯台見えてきた」


 行きは30分ぐらいかけたけど、帰りは15分ほどで戻って来れた。

 スピード、これでも7割ぐらいなんだよな。全速で行けば、10分ぐらいで島の北端まで行けそう。1時間半あれば島を一周できるかも?


「キュキュ?」


「うん、いいよ。あ、一人誰か戻ったこと報告に行ってくれる?」


「キュ〜」


 トゥルーたちが魚を獲りに行きたいということなのでお任せで。

 ちょっと怪我した子が先に港で待ってるシャルたちに伝えに行ってくれた模様。


「えっと、あと1時間ぐらいだよね?」


『はい』


 じゃ、トゥルーたちの漁に付き合って終わりぐらいかな?


<そういえばー、ミオンさんの今後のお仕事の方はどういう感じですかー?>


『えっと、8月下旬にアルバムの収録があります』


<なるほどですー。それまでにちゃんと宿題をー、と言いたいところですがー、お二人は合宿前には終わりそうですよねー>


「そのつもりっす」


『はい』


 合宿、まあ、ほぼ観光旅行みたいなものだし、気兼ねなく行けるようにしておきたい。

 そのあと、お盆はじいちゃん家に行くし、それが終わったらもう8月も後半なんだよな。

 で、ミオンがアルバムの収録があるわけで、何曲か歌うってなったら、やっぱり1日じゃ終わらない? 普通はどうなんだろ?


「アルバムの収録がどれくらいかかるかって、ミオンは知ってたりする?」


『母の話だと、1週間ぐらいを考えておいた方がいいと。曲数にもよるそうですが』


<本格的ですねー>


 午後から夕方まで収録して一曲か二曲ぐらい、10曲あれば5〜10日になるのか。

 今まで流れたことのある曲って何曲ぐらいあったっけ? ミオンが歌ってないのもあるけど、それはどうするんだろ……

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