第338話 ライバル登場!?
「無人島スタートで建国した!?」
『うむ。兄上とは少々違うようだが、上陸後に廃村を見つけ、そこにおったアンデッドを駆逐することでエリアを確保したらしいの』
スタジオに来たベル部長とセスからざっくりと説明してもらったんだけど、本土のどこかで建国という話じゃなかったらしい。
セスの話だと、その廃村っていうのは小さな漁村だったらしく、おそらくは厄災の影響でって話。
そこを制圧、おそらくエリアを占有して、マイホーム設定して……かな。
『ショウ君がプレイしてる時に、無人島が見つかったっていうアナウンスはありませんでしたよね?』
「なかったはず。ああ、例のゲームドールズの今川さんだっけ? それぐらいだったような」
あ、でも、あれもセスに配信してもらってるのを見てたときだったな。
あれがあってしばらく封鎖されたけど、再オープンして一ヶ月は経ってるし、それなりに無人島プレイヤー増えてるよな。
『無人島スタートのワールドアナウンスなのだけど、夜中や朝方が多いらしいわ』
「え? なんでまた……」
『無人島スタート再開の際の調整で、その日に選択できる無人島は全体の一部だという話があったであろう?』
あー、なんかそんな話あった気がする……
『それで発見にさらに手間取るようになって、実際に上陸するのが遅い時間、明け方近くになる人が多いそうよ』
「えー……」
『すごいです』
それなら朝から探した方がって、そういう人はもうIROプレイしてるか。キャラ作り直しもワールドクエスト分の褒賞SPがもったいないってなるよな。
ただ、
「それでも、建国できるところまで進んでる人って、もっといそうな気がするんですけど」
俺が洞窟にいたゴブリンを殲滅したのが、スタートして一月後ぐらいだし、順調に攻略してる人はもう少しいる気がする。
『それは兄上が建国宣言せんのと同じ理由であろう』
「あ、うん。そうだよな……」
建国するとスタート地点として選択できるようになるし、そうなると知らない人が新規キャラで入ってくるっていう、どう考えてもめんどくさい事態になる。
『先ほど建国宣言した人は、それを承知でということですか?』
『承知かどうかは分かりかねるのう』
『建国宣言をしたのがラムネさんなのよ……』
「『え?』」
ゲーム系バーチャルアイドル四天王の一人『天然ラムネ』
名前の通り天然キャラで売ってるんだけど、とにかく当たって砕けろ、へこたれないが売りのキャラだから、無人島向きではあるよな。
「でも、ライブとか全然でしたよね?」
『あの人の場合、プロダクション側の判断もあると思うわ。でも、建国宣言しちゃった以上は隠しきれなくなったみたいで、その後からしばらくライブしてたそうよ』
「へー……」
去年までは個人でやってたんだけど、今年に入ってリアルメインのお笑い系の芸能事務所に入ったとかいう話があったなあ。
そこそこ大手だったのと、その後から全然ライブしてなかったから「大丈夫なのか?」みたいな話になってたけど……無人島スタートしてたのか。
『その無人島ってどこなんでしょうか?』
『それがさっぱりわからないらしいわ』
「あー、まあ、そういうキャラですよね」
主に本人が覚えてなさそうという意味で。
それでまあよく建国宣言まで辿り着けたなあって感じだけど。
『そろそろ、ファンが新規プレイヤーとして上陸するのではないか? さすれば、場所もおのずとわかるであろう』
「こう言っちゃアレですけど……」
『近くには来ないで欲しいです……』
『わかるわよ。あの人の相手をするのは、アンシアさん以上に大変だもの……』
悪い人じゃないんだろうし、見てる分には面白いんだけどな。周りが大変な目に遭うタイプなので。
『まあ、今ここでこれ以上話してもしょうがなかろう。ラムネ殿の島がどこあたりにあるかは、そろそろ判明しておるのではないか?』
『そうね。ファンの人が追っかける時に地図上の場所もわかるでしょうし』
「ワフ?」
おっと、手が止まってたのをルピが気遣ってくれる。
アージェンタさんに出す手紙を書いてるんだけど、アズールさんには明日夜9時に来てもらうでいいかな。
『あ、これじゃないでしょうか?』
ミオンが公式フォーラムで何か見つけたっぽい。
ベル部長とセスがあれこれと話してる間に、手紙を書き上げて魔導転送箱へとしまう。
さて、そろそろいい時間かなって気がするんだけど、3人がまだ話しててタイミングが……
「〜〜〜♪」
「クルル〜♪」
「ワフ〜」
山小屋の窓から飛び込んできたのは、スウィーと今日助けたカーバンクル。神樹の場所を確認してから遊びに来たっぽい。
インベントリからレグコーンを出して渡すと、器用にもぐもぐし始めて可愛い。
他のカーバンクルはウリシュクの集落に行ったんだけど、この子だけは俺についてきたんだよな。ということは、多分……
【カーバンクル:NoName:友好(テイム可能)】
うん、やっぱりテイムできる関係になってる。
『ほほう……』
『その子が今日のライブで?』
「あー、はい……。えっと、ミオン?」
『名前は考えてあります! ラズ君でどうですか?』
さすがミオン。
額の赤い宝石がラズベリーみたいで綺麗なところから思いついたらしい。
ちなみに、カーバンクルごとに宝石の色が違うみたいで、青や緑の子もいたけど、何か差があったりするのかな。
「おっけ。じゃ、君の名前は『ラズ』ね。よろしく」
「クルル〜♪」
【調教スキルのレベルが上がりました!】
【調教スキルの基礎値が上限に達しました。5SPが返還されました】
【ワールド初のスキル基礎値上限到達(調教):3SPを獲得しました】
「お、やった!」
自分が最初に見つけたスキルだし、一番に上限到達できたのは素直に嬉しい。
『おめでとうございます!』
『またも一番乗りとはさすが兄上よの!』
『レアスキルの基礎値上限はショウ君が初めてかしらね?』
と盛り上がってる女性陣だけど、
「で、ラムネさんはどこの島なんです?」
『共和国から南東へずっと行った先だそうです』
『アンシアさんに任せましょ!』
ああ、それなら気にしなくていいか。
とりあえず、この島の近くじゃなくて一安心だけど……
「セス、どうした?」
『うむ。少し警戒しておいた方が良いかと思うてな』
「……ほどほどにな」
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