第300話 相談する側される側
『お疲れ様でした』
「うん、ミオンもお疲れ」
視聴者の人たちはワールドクエストの方も気になってるみたいだし、ライブは延長なしで穏やかに終了。
今日の放送はのんびりだったよな? いや、魔法解析の話はあったけど。
それよりも、悪魔を討伐した『マリーゴールド』って……
<マリーゴールドはー、マリーさんが好きな花ですねー>
「ヤタ先生、知ってるんすね……」
オレンジ色のマリーゴールドが好きなんだよな。真白姉らしい、派手というか目立つ花だとは思うけど。
『じゃ、悪魔を討伐したっていうのは、お義姉さんですか?』
「多分ね……」
なんかクエストを受けてたっていうのは、その悪魔に関係してるんだろうな。
それだけなら普通に(?)プレイしてるっぽいし、俺が心配する必要もないのかな。
<それでは私はー……>
「ああ、ちょっと待ってください!」
落ちようとするヤタ先生に待ったをかける。
正直、ワークエよりも重要な相談が……
<どうしましたー?>
『相談したいことがあるので、スタジオに来ていただけますか?』
<なるほどー。行きますねー>
バーチャル部室に配信したままだと、ベル部長やセスにもバレちゃうので一応。多分、そこまでチェックしてないと思うけど。
「ワフ?」
「ちょっと待ってて。遊んでていいよ」
そんな長く話さないとは思うし、それが終わってから撤収しよう。
………
……
…
『んー、そんなに悩まなくてもいいと思いますよー?』
『そうでしょうか?』
『ゲームの遊び方は人それぞれですからねー。ベルさんなんかも近接戦闘は怖くて無理そうだと思っての魔法使いですしー』
ベル部長はイメージキャラから純魔ビルドなのかと思ってたけど、それもあったのか。
正直、フルダイブゲーム慣れしてないと、特にアクション系は怖く感じるよな。
『ショウ君はそれでいいですか?』
「うん、全然いいと思うよ。新しいエリアに進む時とか、ミオンを庇いながらは正直辛いから、待っててもらおうかなって思ってたし」
マルーンレイスの時とかかなりやばかった。レッドアーマーベアの時なんかも。
あれに付き合わせるのは、性格的にもキャラレベル的にもつらいと思う。
『ミオンさんはショウ君をサポートしましょー。お料理や採集や畑仕事はミオンさんにもできますよねー?』
『は、はい! 頑張ります!』
そんな気構えなくてもいい気がするけど、やる気になってるならそれはそれで。
フェアリーズと採集とか、セルキーたちとお料理とか、ウリシュクたちと農作業とか楽しいし。
『ライブはどうしますか?』
「ライブは今まで通りがいいかな。正直、なんらかして島に来れることをオープンにするメリットは無いなって」
『そうですねー。ライブは今のスタイルが定着してますしー、よっぽどオープンにしたいのでなければー』
島にレポーターとして来てるなんてのも面白いと思うけど、今の段階でそれをやると「どうやって来たの!?」って騒ぎになるに違いない。
可能な限り、こっそり遊びに来てもらう方向で……
『いいですか?』
「うん。まあ、うまくいったらね」
『かなりハードルは高いと思いますよー』
ミオンが死霊都市まで行けるかどうか、行けたとして、その転移魔法陣を使わせてもらえるのか、などなど……
「正直、俺が迎えに行くのが一番かなって思ってるんですけどね」
アージェンタさんに顔が利くのは俺だけだし、俺がミオンを連れて行くのも反対はしないと思う。多分。
『そうですねー。誰かに頼るよりもー、ショウ君が自力でどうにかした方がいいかもですー』
ナットや
あとはベル部長にって線だけど、セスにバレるとなーっていうのがあるし……
『私もその方が嬉しいです……』
「おけ。迎えに行くよ」
『とりあえずー、ワールドクエストが終わるまで待ちましょー』
「りょっす」
『はい』
ヤタ先生の予想的には、ワールドクエストが終わったら、死霊都市が本当に解放されて国になる可能性があるんじゃないかって話。
ひょっとして初のプレイヤー国家? ……ゲームドールズの国があったから初じゃなかった。
ともかく、それでスタート地点として選べるようになれば、俺が変装して迎えに行けばいいんじゃって話に。
それまでアージェンタさんがあの場所を維持してくれるのかも不明だし、確実に迎えに行けるようになればだよな。
そうだ。隠密スキルをどうにかしてレベル上げよう……
………
……
…
「じゃ、帰るよ」
『はい』
ヤタ先生がスタジオを後にしてログアウト。
ミオンも納得いったみたいで、俺も正直ほっとした。
「ワフン」
「〜〜〜♪」
ルピたちも揃ったところで河原からは撤収。
古代遺跡へと入ったところで、
[よろしいでしょうか?]
「え? ニーナ、何かあった?」
[大型転送室にドラゴン、個体名:アージェンタが来訪しています]
「うわ、マジか! ルピはついてきて。スウィーとレダ、ロイは先に戻ってて」
「ワフッ!」
「「バウッ!」」
俺とルピはダッシュ!
いつも来る時間が9時ぐらいだし、1時間弱待たせちゃってるのかな。
突然来るってことは、急ぎの連絡なんだろうけど……
「どれくらい待ってる感じ?」
[およそ15分ほどです]
「あ、そうなんだ」
それを聞いて、ほんの少しペースダウン。
15分ほど前になんかあった……なあ。おそらくあれだと思う。
『ワールドアナウンスの悪魔のお話でしょうか?』
「そんな気がする」
せっかく、ミオンが乗り気になったことだし、妙なことになってないといいんだけど。
十字路の手前でスウィーたちと別れ、俺とルピは大型転送室へつながる転移エレベータに乗り込む。
「アージェンタさん!」
「ああ、ショウ様。突然で申し訳ありません」
そう言って深々と頭を下げるアージェンタさん。
山小屋へと案内する途中に、今日来た目的を……って悪魔の話だよな。
「やっぱり悪魔の件ですか?」
「はい。ご存じということは天啓が?」
「です。ただ、そのうちの一体は倒されたみたいですけど」
あのあと見直して、1/?になってるのを確認してる。
マリー姉が(多分)倒したやつがカウントされたんだろうけど……分母の『?』ってこれいくつなんだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます