土曜日
第272話 完成、設置、そして……
「よし、完成!」
土曜の午後から休憩を挟みつつ3時間かけ、翡翠の女神の木像が完成。
【細工スキルのレベルが上がりました!】
【工芸(木工)スキルのレベルが上がりました!】
【工芸(木工)スキルのレベルが上がりました!】
細工スキルはこれで9とリーチだし、工芸(木工)もこれで3に。細工はいろいろと適用範囲が広いみたいだし、上限突破して上位スキルあるなら欲しいなあ。
【工芸(木工)アーツ<自作複製>を習得しました!】
は? アーツ? 生産系のスキルにアーツってなんだ?
えーっと、どういうアーツか調べる方法はナットに教わってて、メニューを開いてステータスのスキルを選んで、さらにその中にあるアーツを選ぶ……
【工芸(木工)>自作複製】
『自身が木工スキルを使用して作った製品を瞬時に複製するアーツ。
必要な素材と道具を全て所持している必要がある。
なお、複製品が元の品質を超えることはない。
消費MP:元の製品サイズに依存。クールタイム:元となる製品の作成時間×2』
なんか、微妙なアーツな気が。クールタイムもあって、それも結構長いし。
あ、いや、アーツ使えば同じものがすぐできて、クールタイム中は別のことできるから、めっちゃ優秀なのか。
木工で再製したいもの……木の調理道具とか食器類?
「〜〜〜?」
うーんと唸っていると、スウィーに頬をちょんちょんとつつかれる。
ルピたちと遊びに行ってたけど、時間も時間だから戻ってきた感じかな。
「アーツは後でいいか。スウィー的にはこの翡翠の女神像はどう?」
「〜〜〜♪」
顎に手をあてて専門家っぽい仕草で眺めたのちに……グッとサムズアップを返してくれるスウィー。
女王様のお墨付きももらえたし、これなら教会に置いても問題ないかな。
「ワフ」
「あ、それ花冠?」
「「「〜〜〜♪」」」
フェアリーたちが木像に合わせて作ってくれたらしいそれを、そっと女神像の頭へと置いてくれる。
うん、ミオンのアバター衣装もこれと似たのを探しとかないと。
「「バウ」」
「レダとロイもありがとうな」
それぞれ2匹ずつ、計4匹のフォレビットを捕まえてきてくれたっぽい。
さくっと解体しておやつを切り分けてあげる。しっかり撫でて褒めてあげることも忘れずに。
残りの肉はひとまずインベントリ……あ、いや、女神像持って教会に行かないとだし、インベントリのスペース開けないとだ。
「ちょっと待ってて。これ教会に持って行くんだけど準備するから」
「ワフン」
空間魔法の収納拡張のおかげで、女神像をまるまるインベントリに入れることはできるけど、それでほぼ埋まっちゃうからなあ。
インベにある食材やらをひとまず山小屋1階の保存箱に入れる。
そういえば、アージェンタさんがやりとり用の保存箱を近々運び込むとか言ってたし、帰りについでに確認してくるか……
………
……
…
インベントリには等身大の翡翠の女神の木像と亜魔布を一枚。
ルピたち、スウィーたちを従えて教会裏まで。
「置いてくるだけだから、好きにしてていいよ」
「「「〜〜〜♪」」」
そう声をかけると、グレイプルの方へと飛んでいくフェアリーズ。
スウィーは俺の肩に座ったまま、見届けてくれるらしい。あとでドライグレイプルかフローズングレイプルを作ってあげよう。
「お、さんきゅ」
教会の玄関扉を開けて中へ。
薄暗い中、すっと光の精霊のあかりを出してくれるスウィー。
リアルでちょっと調べた感じだと、奥にあるのが祭壇。そこまでの広間、二列に並ぶ長椅子の真ん中の道は身廊。両脇の道は側廊っていうらしい。
真っ直ぐと身廊を進んで祭壇へ。その奥、後陣とかアプスとか呼ばれる場所にある台座を確認。
「ちょっと待ってね。綺麗にしてから置くから」
「〜〜〜♪」
スウィーの風の精霊魔法がうっすらと積もっていた埃をまとめ、玄関扉から外へと運び出してくれる。
グレイディア皮で作ったモップで台座を軽く拭き掃除……こんなもんかな? 祭壇と長椅子があるところは後で。
じゃ、置くか。なんか緊張するな……
「よっと。んー、もう少しこっち向きか……おけ」
【セーフゾーンが追加されました】
「おお、やった!」
女神の木像の足元から薄緑の優しい光が広がり始め、やがてそれが教会の中全体を覆う。そのまま玄関から外へと漏れていってくれてるし、裏の畑や門のあたりも含めてセーフゾーンになってくれそう。
木像でダメだったら石像。石像でダメだったら……銅像? そのつもりでいたけど、良かった良かった。
[よろしいでしょうか?]
「は? ニーナ? ここって話せるの?」
[はい。正確には先ほど話せるようになりました]
あ、ああ! 女神像を置いたからなのか。
……あの台座、スイッチにでもなってるのか? いや、それよりも、
「前に全ての施設は正常に稼働してるとか言ってなかったっけ?」
[はい。像が設置されていない状態では、初期設定どおりマナ供給対象外区画となります]
アッハイ……
うん、すごく機械的な対応がいかにもAIっぽい。
「ともかく了解。ああ、この教会の中が暗いのって明るくできる?」
[はい。礼拝堂内および地下室の照明をつけますか?]
「うん、どっちも……って地下室!? ここって地下室あるの?」
[はい。教壇の下に地下への階段があります]
マジか……
めっちゃ気になるんだけど、今はミオンもいないし、時間的にも無理だよな。
「とりあえず、礼拝堂の中だけ明るくしといてくれるかな」
[はい。了解しました]
その返事と共に、建物の中がかなり明るくなった。
二階にある窓と窓の間にランタンのような照明器具があって、それが光ってくれてるからっぽい。
どういう魔導具なんだろ……
「ワフ?」
「〜〜〜?」
「あ、うん。今はいったん帰ろうか」
地下室は気になるけど、今日のライブでは封印しといて、明日の夜にでも行ってみよう。
「ニーナ。その地下室ってモンスターいたりしないよね?」
[はい。異常なマナは検知されていません]
「その地下室って何に使ってるとかわかる?」
[いいえ。ただ、人が住む用な場所ではなく、倉庫のような構造物となっています]
ごく普通の地下倉庫かな?
ま、日曜に調べよ。ワールドクエストが終わるまで自重……
………
……
…
「お、届いてた。ってか、でかいな!」
大型転送室に降りてきたら、すぐ右横に大きなそれが。
山小屋の1階にある魔導保存箱より二回りぐらい大きくて、容量的には4倍ぐらいありそう。
どんだけ甘味欲しいんだよって気がするんだけど……
「ニーナ。これって俺がいない間に来た?」
[はい。ドラゴン:個体名アージェンタが転移で持ち込み、現在の地点へと運びました]
「りょ。これ、リサイクルする品じゃないから廃棄しないでね?」
[はい。了解しました]
今日のライブ終わったら、わらび餅大量に作らないとだな……
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