第252話 もふもふ家臣団

『それでは今日はこの辺で。またお会いしましょう! さようなら〜』


「また〜」


「ワフ〜」


「〜〜〜♪」


 多分、ミオンの配信はもう止まってるんだろうなと思うけど、コメント欄の流れが止まるまで待機。

 300円ぐらいの投げ銭がずらずらと流れて行って、それだけで15,000円ぐらいありそうなんだよな……


『ショウ君、お疲れ様です』


「うん、ミオンもお疲れ」


 そう答えたところで、コメントの流れも止まって、ほっと一息。

 今日は予定通りの9時半に終わったので、まだしばらくは遊ぶ時間あるよな。


「さて、どうしよ」


『山小屋に戻って、ドラゴンさんにお手紙を書きますか?』


「あ、そうだった。うん、とりあえず荷物を置きに戻ろうか」


 何をするにしても、まずはソースに干物、昆布、カムラスの実を置いてからだな。

 そうだ。女神像を作る前に木工道具を魔銀ミスリルで作ろうと思ってたんだった。


「ワフ」


「ん? ルピ?」


 なんかルピがちょっと待ってほしい感じというか、ドラブウルフの親たちと話してるんだけど。

 もうちょっと干物置いていった方がいいのかな?


「「バウ!」」


「ワフ!」


「え?」


 それぞれの家族から子供、多分弟か妹の方が一人ずつ前に出で、ルピの前へと。

 それを見たスウィーがぱちぱちぱちと拍手してる。


「どういうこと?」


『ショウ君。ルピちゃんについてくるってことじゃないでしょうか?』


「ワフン」


 ルピが胸を張って答えてるし、そういうことなんだろう。

 二人増えたところで、食糧は自前で確保できるだろうし、全然問題ないんだろうけど……


「テイムした方がいいのかな? じゃないと、戦闘に巻き込まれて……は嫌だし」


『はい。二人とも待ってるように見えますよ?』


 そう言われて見ると、確かに尻尾が激しく左右に振られてる。

 調教スキルって多頭飼い大丈夫なのかな。ま、試してみればわかるか……


「じゃ、二人とも、俺とルピを支えてくれる?」


「「バウッ!」」


【テイムに成功しました。名前を決めてください】


 あ、そうだった!


「女神ミオン様、名前お願いします……」


『あ、はい。えっと……、右の女の子がレダ、左の男の子はロイでどうでしょう?』


「おっけ!」


 さすがミオン。っていうか、右の子は女の子だったんだ。

 そう言われてみると、確かにそうかも……


「じゃ、君がレダ、君はロイな」


「「ワフ〜」」


【調教スキルのレベルが上がりました!】


 喜んでくれてるようで良かった。

 これで調教スキルも8になったわけだけど、レベル上がって何か変わったりするのかな?

 とりあえず、この子たちを……


【ドラブウルフ:レダ:親愛:ルピに臣従】

【ドラブウルフ:ロイ:親愛:ルピに臣従】


 な、なるほど、ルピの配下ってことか。

 ん? ひょっとしてルピっていう頂点があるからテイムできたのか?

 まあいいか。今度のライブで視聴者さんに聞いてみよう。


 ………

 ……

 …


「よっと。んー、久しぶりに帰ってきた感じするなー」


 山小屋がある盆地に出て、いつもの風景を見て落ち着く俺。

 さて、まずは荷物を置いてだけど……フェアリーたちが女王様をお出迎えかな。


「「「〜〜〜♪」」」


「〜〜〜♪」


「はいはい。お土産あるから、まずは家に帰ろうな」


 フェアリーたちは、レダとロイに挨拶して、その背中に乗せてもらってる。

 これからは島の南側の散策とかにも付き合ってもらったりするし、仲良くやってくれそうで何より。


「よいしょっと。カムラス、一つずつね。全部食べちゃうとコンポートの分無くなっちゃうから」


「「「〜〜〜♪」」」


 どれが一番美味しいかな? って感じでカムラスを選んでるフェアリーたち。

 その間にクルーぺソース(魚醤)とオステラソース(オイスターソース)を保存庫に入れてこよう。


「ワフ」


「「バウ」」


 蔵の前ではルピがレダとロイに何か教えてるっぽい?

 なんか、キリッとしてるルピが可愛いくて、すごくモフりたくなるんだけど……我慢。

 レダとロイは蔵の方で寝るのかな? それならそれで、余らせてるグレイディアの毛皮を敷いてあげた方がいいか。

 いや、まずはアージェンタさんに手紙を書かないと。


「報告は魔王国から死霊都市へってだけで良いかな? あ、いや、進捗が下がる件、区画が完全に抑えられない件も伝えとくか……」


『アンデッドは倒しても復活してるんでしょうか?』


「なんかコメントだとそんな話だったね。やっぱり深夜になるとプレイヤーも減るし、攻略した場所にアンデッドが攻めてきて取り返されてるのかな?」


 前の未開地の開拓は安全を確保できたらセーフゾーンができたし、そこをNPCも守ってくれてたっぽいけど。


『深夜はゲーム内も夜になるからでしょうか?』


「あー、2時から10時までが夜なんだっけ。その間はアンデッドも強くなりそうだもんな……」


 ゲーム内が夜になる時間は運営も今後調整するらしいけど、少なくともワークエの最中に変わることはなさそうだよな。


『部長たちも苦労するかもですね』


「最初は苦労するかもね。ただ、セスがきっちり原因を調べるだろうし、何かしら気づくとは思う」


 そのあたりに関しては心配してないかな。

 どっちかっていうと、マリー真白姉の方が心配。


『やっぱりあの女神像が必要なんでしょうか?』


「どうだろ。神聖魔法が使える人が聖域を出せるんなら、それで問題ない気もするけど。いや、消費MPだったり持続時間だったりが厳しいかもか……」


 仮に神聖魔法に聖域の魔法があったとして、掛けた人がログアウトしたら普通は効果切れる、よな?


『ショウ君が今使える神聖魔法にはないんですよね?』


「うん、スキルレベル2だからだと思うけど、浄化、治癒、沈静、聖光の4つかな。あ、教典持てばもう少しあるか」


 沈静は心を落ち着ける魔法でパニックとか恐怖とかの解除。聖光はアンデッドにも効くライトで、いわゆる『ホーリーライト』ってやつかな。

 ま、今のところは魔石を魔晶石にする浄化しか使ってないけど……


『ドラゴンさんたちはどうするんでしょう?』


「確かに……どうするんだろ?」


 NPCだから大丈夫なのかな?

 竜人ドラゴニュート族に確保させるとか言ってたけど……


「アージェンタさんとか白竜姫様って、女神様と直接話せるのかな? いや、ドラゴン専用の天啓ってのもありか」


『そうですね。厄災を止める時に女神様から頼まれたってお話でしたし』


「まあ、そういうことなら……大丈夫だよな、きっと」


 俺はワールドクエストは不参加扱いなんだし、部外者は余計なことは言わない方向で……

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