第206話 讃えよ、我らが女王を
「よし、じゃ教会裏へ行ってからスタート待ちかな?」
『ショウ君、ドラゴンさんからお手紙が来てないか確認を』
「あ、さんきゅ」
火曜に確保したのは、チャガタケが生えてた朽木の他に、大量のパプの実。
それをまた、とろとろ干しパプにして、30個セットでアージェンタさんのところに送っておいた。
その返事が来てる可能性が……
「ああ、来てる」
転送箱を開けると手紙だけ。
お礼は必ずとか言ってたけど、こっちから特に何か欲しいって話はしてないもんな。
というか、空間魔法の本をもうもらってるし。
「ワフ?」
「〜〜〜?」
「ごめん、ちょっと待って。読み終えてから行こう」
お座り台から手紙を覗き込むルピが可愛い。
スウィーとフェアリーたちには先にちょっとおやつがわりのドライグレイプルを。
で、えーっと……
『ショウ様
先日は急にお邪魔し、大変失礼いたしました。
いただいたカムラスの甘味もお
また、さらに追加のパプの乾物も多く送っていただき、ありがとうございます。
今後は目を離さぬようにいたします。
さて、お送りいただいた転送魔法陣の個体番号を調べたところ、対となるものは、手元には見つかりませんでした。
竜の都の未だ把握しきれていない場所にあることになりますが、件の死霊都市もその対象範囲となりますので、十分ご注意ください。
既にご存知かと思われますが、転移魔法陣はその上に障害物がある場合には転移できない仕組みとなっております。
お手持ちの転移魔法陣の上に、ある程度の大きさと重さがあるもの、転送箱ほどの物を設置しておけば安全です。
もし、剥き出しのままであるようなら、急ぎ対策をお願いいたします。
最後になりましたが、お困りごと、必要な物などありましたら、遠慮なくお申し付けください。
お
……
とりあえず、カムラスのコンポートは好評だったようで何より。
転移魔法陣の片割れが見つからなかったのは残念だけど、こっち側で対策しとけば大丈夫って確認にもなったので良いかな。
あと、今困ってるっというと、例の崩落現場ぐらい? まあ牛乳とか味噌と醤油とかが欲しいっちゃ欲しいけど……
「ミオンはなんか必要な物とか思いついたりする?」
『今だと牛さんとかでしょうか』
「まあ、そうだけど……それは自分で手に入れたいかなあ」
せっかく無人島スタートしたわけだし、そこで手に入る物でどうにかするのが楽しいというか。一つ便利なものもらうと、あれもこれもってなりそうだし。
まあ、既に空間魔法の魔導書をもらっちゃったけど……
「〜〜〜?」
「ワフン」
「あ、いけね。そろそろ移動しないと」
『そうでした!』
ま、特に欲しい物はないし、返事は後でいいか……
***
『みなさん、ミオンの二人のんびりショウタイムへようこそ!
実況のミオンです。よろしくお願いします!』
【シェケナ】「きゃ〜! ミオンちゃ〜ん!」
【マリオネラ】「今日もドラゴン来るの?」
【デイトロン】「<祝PV出演(2回目):10,000円>」
【コックリ】「水曜初ライブ〜\(^o^)/」
【ディソル】「銀竜との関係を詳しく!」
etcetc...
『すいません。前回のライブに来られたドラゴンさんの話は、後で質問コーナーでお願いします』
ざっと流し見てると、やっぱりアージェンタさんが来た件についてのコメントが多い。
それについては、今日のライブは畑と教会の紹介した後に30分ほど取る予定。
『あ、服は前回のままですが、今日は釣りじゃないです。ごめんなさい』
ミオンの衣装が釣り服のままで誤解されてるのか。しまったなあ。
初期の探検家服に戻すか、普通の実況用(?)の服を用意しないと……
『では、島に繋ぎますね。ショウ君、ルピちゃん、スウィーちゃ〜ん』
「どもっす」
「ワフ!」
「〜〜〜♪」
今日のスタートは教会裏手につながる洞窟を出たところ。
参道っぽい場所は、ある程度草刈りしたおかげで、なかなか風情がある雰囲気に。
【ブルーシャ】「今日もルピちゃん元気!(*'▽'*)」
【リーパ】「強い子や!」
【ベアメン】「ショウ君に会えて良かったね〜(≧∀≦)b」
【ガフガフ】「それでこそ狼の王!」
etcetc...
みんなルピのこと心配してくれてたみたいで一安心。
まあまあ、前回ライブから元気なのはわかってたんだろうけど、アレ見るとやっぱり心配になるよな。
『ショウ君、今どこにいるか、詳しく教えてくれますか?』
「りょ。えーっと……」
というわけで、解錠コードの先、十字路をさらにまっすぐ進んで、洞窟を出たところの説明を。
この先に畑がある話を軽くして、そこに行く前に、
「前回、紹介できなかったんだけど」
と左肩のスウィーを見ると「うむ」とばかりに頷いて手招き。
そして、やってくるフェアリーたち。
「「「〜〜〜♪」」」
スウィーの左右に並んで、女王を讃える踊り?
いや、なんでそれでスウィーが偉そうにするの?
【ブルーシャ】「かわいい〜(*'▽'*)」
【シェケナ】「讃えよ〜♪( ´▽`)ノ」
【キラル】「スウィーのドヤ顔可愛すぎるw」
【カティン】「ルピちゃん、呆れとるで?w」
etcetc...
まあ、ウケてるみたいだからいいか。
「じゃ、畑の方へ行こうか」
『はい』
まばらな石畳が見えて雰囲気のある道を進むと、やがて見えてくるのは教会の尖塔。
コメント欄が盛り上がってるけど、教会は別にやらかし要素はないので……
教会の裏手に来ると、見えてくるのはいろいろな畑。
「えーっと、この辺りはオーダプラで……」
結構広くなってきたけど、量よりは種類を豊富にかな。
ペリルセンス(ごま)、グリシン(大豆)あたりはちょっと多めに。
オーダプラ(じゃがいも)、レクソン(クレソン)、ルディッシュ(大根)、月曜に植えたライコス(トマト)も順調そう。
【ニクス】「発育いいねえ〜」
【バイタミン】「約束された美味しい野菜!」
【ナンツウ】「まだまだ土地にも余裕あるのうらやまだわ〜」
【チョコル】「毎日お手入れしてるの?」
etcetc...
「この裏手は元々ちょっとした畑だったのかな? 手入れは週に一、二回っすね。こんな感じで」
精霊にお願いして、栄養たっぷり(?)の水を軽く撒いてあげる。あとはまあ、気になったら雑草を抜いたりする程度。
『水の精霊さんと、樹の精霊さんにお願いしてるんですね』
「そうそう、これはスウィーに教わったから間違いないと思う」
【アサナサン】「なるほど〜」
【サブロック】「女王のお墨付き!」
【コージ】「ひょっとして、最近話題のバフ食材に?」
【グランド】「ショウ君が作りましたマーク作ろうw」
etcetc...
「バフ食材? それは多分ないと思うけど……」
普段、飯食ったからってステータス見たりしてないからなあ。
カムラスのコンポートの時は、ルピが淡く光ったけど、そういうのはなかったし。
『確認してみないとですね』
「うん」
今日は時間があれば、前回アージェンタさんに渡しちゃったカムラスのコンポートを披露する予定。
あれはベル部長に見せた時に『やばい』って言われたけど、今ならもう作り方も広まってるみたいだし、大丈夫だよな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます