金曜日
第129話 二人で話し合って
真白姉も美姫も遅起きだったので、10時過ぎに朝食を兼ねた昼食。
「そういや、真白姉は大学の友達には会えたの?」
「おう!」
どんぶり飯をガツガツかっこみながら答える真白姉。お嬢様どこいった……
「それがシーズン殿だったようでな」
「え? 確か……ギルドで裁縫してる人だっけ?」
「うむ。探す手間が省けて良かったのう」
連絡を取って、王都の広場で待ち合わせたら、相手がシーズンさんだったってオチらしい。
真白姉と同い年、同じ寮生活。
クローズドベータ組だったはずだし、大学進学前から遊んでたのか。
一応、受験が終わってからだとは思うけど、なかなか気合入ったゲーマーさんだよな。
「じゃあ、武器防具も困ることはなさそうだな」
あの『白銀の館』にいる人たちは、生産組でもトップに近い人たちだろうし、不良品を掴まされたりってことはなさそうで一安心。
さっそく、革製の鎧と鉄の籠手、ブーツを作ってもらったらしい。支払いは
「あ、そういえば、美姫。ウルクだっけ? あれの角だかって細工してもらった?」
「おお、それよ! ジンベエ殿に首飾りにしてもろうたのだが、STR+5、VIT+5という代物になっての!」
「マジか……」
BPにして10、1レベル分かそれ以上のボーナスってえげつないな。
ただ、STRとVITから算出されるHPには反映されないらしい。まあそんなもんか。
「それってレオナ様には伝えたか?」
「うむ、ジンベエ殿からダッズ殿に伝えたとな。向こうの皮の方もどうなったか気になるところゆえの」
ああ、そっかそっか。
ミオンが素材加工も重要なんじゃって話をしてたし、その辺りの検証ができたら教えて欲しいところ。
まあ、俺はすでに素材加工が7あるから今さらなんだけど……8以上にしたいなあ。
***
「ちわっす」
『ショウ君』
「あら、早いわね」
確かに今は12時過ぎ。
いつもより1時間ほど早いんだけど、二人ともバーチャル部室にいることがわかったので来てみた。
で、何か作業をしてるのは……
「昨日、話してたやつ?」
『はい』
新しいチャンネル名の話の後、設定の仕方についてはそれ以外も含めて、ベル部長から教わるようにっていうヤタ先生のお言葉が。
ミオンの方から連絡するっていってたから、昼からのゲーム前にってことかな。
チャンネル名の変更だけでなく、ヘッダー画像とか、ミオンのアイコンだとかカスタマイズできるところは一気にいろいろ変えるっぽい。
……俺は昨日の動画のコメントチェックでもしてるか。
やっぱり例の山小屋にホラー展開を期待してる人が多い。
それ以外の人たちは、中に例の『解錠コード』があるんだろうなってのと、この盆地の植生とかに興味津々。
荒れた雰囲気は全く無くて、平和なコメント欄に癒される……
『できました! ショウ君、見てください!』
「うん。チャンネルトップへっと……おお、すごっ!」
チャンネル名は【ミオンの二人のんびりショウタイム】になり、その後ろのヘッダー画像には、前にヤタ先生が作ってくれたルピの画像が。
今までは『M』とだけ書かれてたミオンのアイコンが、アバターを撮影した可愛らしい画像に変更になっている。
最近投稿した順に並ぶ動画、ライブアーカイブとカテゴリー分けされて表示されてたりと一気に本格的なチャンネルに……
「そのうちファンアートなんかも届くかもしれないわね。その時は、ヘッダー画像に採用したりするといいわよ」
『はい。ありがとうございます』
「さすが魔女ベル。っていうか、部長らしいとこ初めて見ました」
……余計な一言でした。
***
「よし、完成!」
土間を覆うテラス屋根ができ、これで雨の日も外で料理できるようになった。
昨日立てた柱に梁を渡し、山小屋への接続はL字金具で固定。屋根は以前の山小屋の屋根板を再利用。
『その屋根だと雨漏りしませんか?』
「一応、2枚重ねて隙間は塞ぐようにしたから大丈夫だと思う。もし漏れるようなら、その時に考えようかなって」
ここで寝るわけでもないので、多少の雨漏りの可能性は許容。
本当なら銅板とかで覆いたいところだけど、銅鉱石もないし、あったとして圧延できるような仕組みもないし。
「さて、石窯を新しくするかな」
『前よりも大きくですか?』
「うん。スペースあるし、活用しないとね』
『あんまり背が高いのを作ると、屋根板に燃え移りませんか?』
「あっ……石の天板をちゃんと作るから大丈夫だと思う」
ミオンに指摘されなかったら、煙突を真上に出すところだった……
………
……
…
『そういえばショウ君、次のライブなんですが』
「え? あ、もう明日か! 連休で曜日感覚が……」
『私も今日になって気づきました。部長と設定をしてるときに』
俺も昨日公開した動画のコメントチェックしてる時に気づけよって話だよな。
それにしても、明日はどういうライブにするつもりなんだろ。やっぱり……
「この山小屋とかのお披露目?」
『はい、それが一番かなって』
「昨日のがちょうどぐるっと見て回ったとこだったよね。中っていうか、1階の説明とかはどうしよう?」
『特に変化はないですし「改装前と同じです」でいいんじゃないでしょうか?』
そういやそっか。
2階はテーブルに椅子、ベッドだけで特に説明することもないし。
「じゃ、それにしようか。蔵と山小屋とこの土間で1時間ぐらい?」
『はい。あと何かお料理お願いします』
「おけ」
フォレビットの海苔塩煮込みとかにしようかな。
それか海で魚か何か捕まえられたら、塩焼きか煮付け……煮付けは醤油がないとなんだよなあ。
『あと、連休明けた週はテスト前になるので』
「あ、そうだった。告知しとかないとね」
テスト前から終わるまでは部活禁止。
ヤタ先生に「家からも
というか、部活でヤタ先生とフレンド登録したせいで、プレイ時間がモロバレになっちゃってるっていう。ベル部長とか大変そう……
『来週は動画投稿もライブも無しですね』
「ま、しょうがないかな。テスト期間中は1階のキャビネットにあった本を読んで、テスト終わってから『解錠コード』の扉かな」
『開けてみるんですか?』
「例の記録に書いてあった制御室ってのが気になるから」
あと、北側に出れる可能性かな。
まだまだ食材が足りないし……
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