第57話 ニコイチとかいう方法
ミオンがまた公式フォーラムに確認に行ってくれたので、それを待ちつつランジボアとやらを解体。……の前に鑑定しとこう。
【ランジボア】
『自分以外の動物に突進して襲いかかる猪のモンスター。短距離ではあるが猛スピードで走るので逃げ切るのは難しい。
料理:肉は独特の臭みを除けば美味。内臓も綺麗に洗って加熱すれば食べられる。素材加工:骨、腱、皮は各種素材となる』
おおっと、これは美味しいそうな鑑定結果。さっそく解体して……肉、腸、角、牙、骨、皮と使えるところは全部取れたっぽい?
【解体スキルのレベルが上がりました!】
お、やった。って、キャラレベも上がったんだった。
まあまあBP使うのは帰ってからでいいかな。
『わかりました。雷帝レオナさんが王国の北西にあるダンジョンを発見したそうです』
「へー、なんか新規制限が解除されて、一気に活動範囲が広まったなあ」
『やっぱり人が増えたからですか?』
「だと思う。モンスターが増えても、相手する側のプレイヤーも増えたから、数で押されて囲まれるとか無くなるし」
『なるほどです』
そこからプレイヤーが増えすぎて、モンスター足りなくなるまでがワンセットって感じなんだけど、IROはどうなんだろ。
「まあ、今日で良かったかな」
『どうしてです?』
「だって、ベル部長もゲームドールズの人も古代遺跡の探索ライブしてるし」
『あ、レオナさん、そのまま遺跡に入ったらしいですよ。今もライブ中だそうです』
「ええー、マジか……」
さすが廃V。キリのいいところで終わっとくなんて考えは無いらしい。っと、ロープに変えた罠を設置して、今日はこれで戻ろうかな。
「よし、帰ろうか。ルピ」
「ワフン」
これで前に見たグレイディアって鹿なら捕まえられそうだけど、ランジボアはどうかな?
あの石壁を倒す突進を繰り返されたらロープが切れるかもだよな。その時は違う何かを考えるか……
『あとベル部長とセスちゃんたちは順調みたいですよ』
「そりゃ良かった。明日の部活時間はアーカイブ見ようか?」
『はい!』
***
洞窟前の広場まで戻ってきて一段落。
ルピはお散歩に満足したのか、洞窟の入口脇でお昼寝モード。
「さて、何しようかな。さっきの話に出てこなかったことってまだあったかな?」
レクソンは収穫してきた。それ以外の野菜やらキノコもゲット。
グレイディアを捕まえられそうなロープを使った罠も設置完了。
川は水が引くまではどうしようもないし、残ってるのはやっぱり鍛治?
『学校で話してた弓って直せませんか?』
「ああ!」
ゴブリンアーチャーからゲットした弓が2つあるんだった。
洞窟の中に置きっぱだったし取ってこよう。
「さて……」
修理を意識して弓をよく見てみると、直さないといけない場所がスキルアシストで見えてくる。木工と弓のスキルのおかげかな?
『どうですか?』
「えーっと、こっちは本体がもう持たない感じで、もう片方は弓弦がダメっぽい」
『素材を集めないとですね。でも、本体はともかく弓弦って何でできてるんでしょう』
「あー、とりあえず両方から使える部分だけ集めて1つ再生すればいいかなって」
『なるほどです』
じいちゃんがニコイチとか言ってた記憶。2個で1個にするからだよな?
ま、弓弦はいずれ用意しないとだろうけど。消耗品だと思うし。
確か動物の腱、肉で言うとスジの部分とかだっけ? きっと素材加工スキルさんが教えてくれるはず。
あ、でも、さっきのランジボアからは腱って取れてなかったような。肉から剥がせとかなのかな。
「とりあえずバラしてみるか」
スキルアシストさんに頼りつつ、本体がやばくて弓弦は大丈夫な方を分解しようと……
バキッ!
「……」
真っ二つに割れた弓の本体。さっきの破壊音は断末魔の叫びってやつだったのかな……
『も、もう限界だったんですよ!』
「そう思うことにしとく……」
弓弦が痛んでないのも、本体がもうたわんでたからかな。
で、こっちは本体が丈夫な分、弓弦が伸びちゃってると……
伸びた弓弦をダガーでバッサリ切ると、M字形の本体の端がピンと元の形?に戻る。
「かなり力かけて弓弦張らないとなんだ」
『筋力も必要なんでしょうか?』
「必要な気がする。そいやレベル上がったし、またステに振っておくかな」
このあと鍛治をやるんならSTRは高い方が良さそう。DEXあった方が良い出来になりそうだし。あとVITかな? 疲れにくい方がいいよな。
STRに4、DEXとVITに3ずつ振ってBP消費完了。
で、壊さないように慎重に本体をたわませて……弓弦を慎重に掛け渡す。
「ふう……」
『うまくいきました?』
「と思う。鑑定してみればいいのか」
【短弓】
『短く湾曲した弓。主に狩猟に用いられる。攻撃力+15。
弓:両手持ち武器。矢を消費。木工:作成、修理が可能』
「よしよし!」
『あとは矢ですか?』
「矢なあ。西の森で倒木とか拾ってくるのが一番なのかな。でも、結局、加工するための道具がダガー一本じゃ厳しいか……」
『竹はダメですか?』
「そっか。仙人竹ならなんとかできないこともないし、もともと真っ直ぐだからいいかも」
『あと……矢についてる羽はどうするんでしょう?』
「あっ……」
そういや直しようもない戦利品の矢にも一応、矢羽ついてたな。ぼろぼろだったけど。
「鳥の羽、だよね? 合成樹脂とかあるわけないし」
『そういえば、この島で鳥をまだ見てない気がします』
「確かに。鳴き声は聞いたことがあるような無いような」
そもそも気にしてなかったからなあ。
「今度ちょっと真面目に羽が落ちてたりしないか探してみようか」
『はい。それに鳥も美味しい気がします』
「それだ! あと卵……を巣から取るのは流石に気が引けるな。ニワトリみたいなのがいてくれればいいんだけどな。家畜にできそうなら増やしてってのもあるし」
『鳥の羽が集まれば、お布団とかどうですか?』
「そっちもあるなあ。あ、裁縫スキル取ったのも忘れてた……」
IRO、メニュー内にタスクリストとか作ってくれないかな。メモ帳でもいいけど。
「残りの時間は裁縫で何か作ってみるかな」
今手持ちにある加工済みの革は二種類。バイコビットの柔らかい革とサローンリザードのゴムっぽい革。
『ポーチとかどうですか?』
「いいね。腰に吊っておければ、ポーションとかすぐ出せそう」
柔らかい方は小さいし革紐にして、ゴムっぽい方で簡単なポーチ、要するに巾着袋でいいかな。
『でも、針とかハサミとか、やっぱり作らないとダメでしょうか』
「ああ、それは大丈夫。昔の人は骨とか角で針を作ったらしいよ。だから、バイコビットの骨とか角で作ってみるよ」
『すごいです!』
「あ、でも、骨からそういうの作るのってスキル何か必要そうな気がしてきた……」
木工、石工っていうぐらいだから骨工? 違うよな?
素材加工は完成品を作るものでもなさそうだし……
『細工とかでしょうか?』
「なるほど。細工取っておけば、木工細工とかも合わせ技でできそうだし、釣りと合わせて釣針も行けそう」
よしよし、【細工:Lv1】は消費SP1だし、サクッと獲得。
じゃ、まずは針と目打ちでも作ろうかな……
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