第十八業 俯瞰者達とRock Is Dead ④
悪魔、それは元来、人の欲望に寄生する生物である、それを養分とする寄生虫である。
鬼、それは本来、人の怒気から発するが固形物となった、もう一人の自分の獣性である。
「くたばりやがれ!魔獄導!」
脳天を貫く刀の刃、待ってましたと言わんばかりに緋走村邪の刀が魔獄導を攻撃した。
それに対して、李緋走は駆け出した。
彼にとって武器を提供してくれる眼、というのは悪魔である、人としての仮初めの名前は
「どうぞ、ご主人様」
渡される武器は刺々のトゲがついた球体を先っぽにつけたモーニングスターと呼ばれる武器、中世、刃物を持てない僧侶などの聖職者が持っていたこともあった、その場合ホーリーウォータースプリンクラーと言うブラックな名前で呼ばれる。要は、罪人の頭を殴ったら綺麗な聖水がスプリンクラーのごとく上がるというわけである。メイスという無難なモノから場合によっては刃物よりも凶器らしい鈍器であるモーニングスターであった。
その扱いはジャンヌ・ダルクに似る。
「オラァ!」
それを悪魔的発想と言うだろう、例え、頭部を攻撃されたモノ、それでもなお、また、頭部を攻撃する、トドメという概念のためだ。
ランスのような突き方、それが凶悪だった、これを同じ人間がする事とは思えない。
顔面、眼球、鼻、口のある顔面。
潰される、文字通り面目丸潰れだった。
両手は横向きの力学より後ろ向きの力学が働いて、どこまでもだらしなく延びるだけ延びて、それが宙になり体と共に飛んでいく。
やがて、旅館の壁にぶつかるまで。
「………あら」
旅館の女将は見慣れたと言った表情をしながらも、そのぶつかった男を見ていた。
「はぁ、久しぶりに大変な事になってるね」
そんなため息をもらす。
手が伸びる、だがその手を払いのける。
「当旅館の従業員を吸血なさるおつもりならば話は別ですよ?」
「………そりゃ、悪かったな」
魔獄導はそうして手を元に戻した。
粉々になった顔面の骨、陥没した鼻、トゲが刺さった両目、唇は切れるどころでは無かった、それらを全て順序よく再生していく。
「銀次、もう一仕事するか?」
「いっちー、そりゃきついぜ」
無傷、服装の一つに返り血以外の汚れの無い二人、返り血は赤色だけではなく、青色、緑色、紫色、マーブルカラー等があった。
いや、いっちーと呼ばれた男の首元には絞殺されかけた後がある、イギリス紳士が異能。
奴隷となった女子供達は兵士でもあった、それに対して、彼等二人は油断をしていた。
寒気、凍えるような寒さ、氷で出来た鎖、それによって奴隷兼兵士達、闇の尖兵というべきだろう、そうしたのをまるで必殺仕事人の三味線屋の勇次のように相手を高く宙吊りにして絞殺する技を駆使していった。
「おやおや、まだゴミ処理は続くな」
異能
「氷は常温でもすぐに溶ける」
そのあるはずのない可能性を持ち込んだ。
それによって難を逃れた後、顔面に一発パンチを決めて、そこから立ち去っていった。
「………私闘したな?なら見せしめに殺す」
立ち上がり、その新しく現れた二人へ攻撃を続ける、そこに先程の攻撃を止めた二人と緋走が二人とも攻撃しようとしてきていた。
「
それが銀次の顎に当たった。
「なっ」
一瞬、脳が揺れた。
体がしなる、みずみずしいという言葉が似合う、軟体、蛸のようで
「俺もやるか、
緋走村邪、村邪はあらゆる
魔獄導の頬に直撃しかけたが避けられる。
「ご主人様、次はこれです」
戦中、第二次世界大戦において日本とドイツは友好関係、同盟関係にあった。
お互いの技術を交換して切磋琢磨をした。
その結果日独の武術の融合した技の数々、日本陸軍とナチスドイツの複合化した新型魔導具、
日本の武士、武将の鎧甲冑、西洋の騎士、そして
「更にもう一発!」
それで殴りかかる李緋走より先に。
「行くぞ!」
「おう!!」
李緋走の隣をより速く通り過ぎる二人。
賀茂照義、賀茂吉輝の二人の雷速の両拳、賀茂照義は右手、賀茂吉輝は左手を握り拳に。
「「
「ぶごっっっ!」
またもや文字通り面目丸潰れになる魔獄導。
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