第264話●来年の授業を決めようホームパーティ

 ご飯の用意が終わったところで、俺たち三人以外で最初にやってきたのは朋夏さんと慧一だった。


朋夏「いい香り!」

慧一「すごいいい香りだな!」

紗和「二人は事務所から?」

朋夏「うん、事務所でタクシー捉まえてね!」

慧一「朋夏の経費に便乗したよ。」

朋夏「まあ、4月には財布は一つになるじゃない。」

慧一「あー、まあな。」

明貴子「そういえば二人で合同会社立ち上げるっていってたね。」

朋夏「慧一も個別の収入あるから。」

圭司「慧一っていまでもけっこう印税とかあるのか。」

慧一「印税というよりも動画の広告料だね。ありがたいことにいまでもかなり見てもらっているから。」


 ピンポーン


 次にやってきたのは、瑠乃さん、華菜恵さん、彩春さん、そして未亜。


明貴子「4人一緒だったんだね。」

未亜「まず、彩春と私が有明で一緒になったんだ。」

彩春「私はドルプロのステージに出てて、未亜はせまじょだっけ?」

未亜「うん、せまじょのトーク&ミニライブショーだね。彩春も今日はおしまいだっていうから一緒にタクシー乗ってね。」

彩春「私はちょっと事務所に顔を出さないとだったから未亜に付き合ってもらったんだ。」

未亜「せっかく事務所に寄るんだったらっていうことで、太田さんのデスクに顔を出したらちょうど瑠乃が太田さんと一緒に営業から帰ってきたところでね。」

瑠乃「未亜はてっきり有明から直接だと思っていたからビックリしたよ。」

華菜恵「みあっちが来てくれたんで、太田さんが私も今日は上がっていいっていうことにしてくれて。」

未亜「じゃあ、タクシー相乗りしようって4人で帰ってきたというわけ!」


 同じ事務所に所属して、動いているからこういう偶然もあるんだなあ。なんかいいよね、こういうの。

 軽く雑談したあとは、みんなそれぞれ席に座って、三人で作った料理を並べる。


圭司「ザンギとシーフードサラダが紗和さんで、のっぺい汁としょうゆおこわが明貴子さん、酢の物とレバニラ炒めが俺だね。飲み物は回った?じゃあ、乾杯の発声は家主の朋夏さん!」

朋夏「えっ!?私?!」

彩春「ほら、朋夏!頑張って!」

朋夏「もう!彩春はすぐそうやって!仕方ないなあ。それじゃあ、来年度もみんなでしっかり単位が取れるように今日はいろいろと相談しよう!その前に三人が作ってくれたご飯を楽しく食べて、大いに盛り上がろうね!乾杯!」

全員「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」


 乾杯のあとは早速みんな食事をはじめる。明貴子さんの作ったおこわ、美味しいな!きっと、実家の味なんだろうね。


朋夏「一つみんなに報告。実は4月からマスケイさんとカップルチャンネルを立ち上げるんだ。」

紗和「えっ!?そうなの?」

慧一「うん、日向夏さんと沢辺さんの押しに負けた。」

朋夏「えー!割とノリノリだったじゃん!」

慧一「朋夏!それは内緒!」


 この二人もかなり上手くいってるんだな。


彩春「朋夏と慧一くんも未亜と圭司くんもすごい上手くいっているようで何よりだよ。」

明貴子「彩春が遠くを見てしまった!」

華菜恵「こればかりは運もあるから!いろはっちにもそのうちいい人が現れるって!」

彩春「だといいんだけどねー。」


 なんとなく右隣に座っている未亜の方を見たら目線が合った!思わず二人でにやっとしちゃったよ!


彩春「あっ!未亜と圭司くんが二人の世界に入ってる!」

瑠乃「それだよ、それ!それがのろけなんだよ!」

未亜「えー!瑠乃、私、言葉はなにも発してないよ!?」

瑠乃「のろけは態度にも出るんだよ!」


 すっかりお約束となった感じもするこのやりとり。この仲間内だから嫌味でも何でもないっていうのが判って気楽だし、なんでもないこういう雑談が楽しい。

 そのあとも食事をしながら雑談を続ける。紗和さんが何かを思い出したようだ。


紗和「そうだ!大渡先生との食事会なんだけど、3月中はちょっと忙しいみたいで、大学が始まったタイミングで改めて調整させて欲しいって。」

圭司「大渡先生も忙しそうだもんなあ。」

紗和「やっぱりかなり曲作りの依頼があるみたい。」

未亜「けっこうやりとりしているの?」

紗和「うん、同じ音楽家だからね、曲作りの話とかけっこうやりとりさせてもらっているよ。」

未亜「紗和が親しくなってくれていると話もいろいろと弾みそうでいいかもね!」

紗和「私もそう思ってさ。でも、こんなにいろいろとやりとり出来ると思ってなかったからなんか不思議な感じだね。男性恐怖症もだいぶ改善されたんだよ。圭司くんと慧一くんと幸大くんのおかけだと思う。本当にありがとう。」


 そういうと紗和さんは頭を下げた。


慧一「いやいや、紗和さん、気にしないでよ。圭司と違って、俺がどこまで協力出来たか、全然判らないし。」

紗和「私の曲が伸びて、いまに至るこの道が出来たのはマスケイさんのおかげだもの。マスケイさんが歌ってくれていなかったら、未亜の曲を作ることはなかった。もし未亜の曲を作ることが出来ていなかったら私は今でも札幌で家に閉じこもっていたと思う。それだと多分男性恐怖症が本当の意味で改善されることはなかったんだと思うんだ。だからね。本当にありがとう。」

慧一「そか。そこまでいってもらえると照れるけど嬉しいな。」

朋夏「慧一、よかったね。」

慧一「うん。俺の歌がちょっとでも他の人の人生にいい影響を与えているんだなって、なんか自信になった。」

未亜「私の高3の時の担任がマスケイさんの新作楽しみにしているから!」

慧一「そうだな、そろそろまた活動再開させるから!」

彩春「おっ、慧一くんはそろそろ歌い手として本格復帰するんだ!」

慧一「そのつもり。実は、ストーカー騒動の前に『その虹の向こう側にある空』と『昏い夜にはあなたの優しさが』をチョイスして、収録済みなんだ。」

紗和「えっ!私の曲!歌ってくれたんだ!すぐ、うぷ出来る状態なの?」

慧一「いや、MIXがまだでね。原曲の動画と結合してエンコードする前段階なんだよ。」

紗和「それなら私がMIXと動画作成しようか?」

慧一「えっ!まじで!?そしたら謝礼はちゃんと出すよ。」

紗和「いいよ、別に。マスケイさんのおかげで今の私があるんだもん。なにも返せてないから少しは返させて。朋夏、いいよね?」

朋夏「もちもち!マスケイさんと原曲作者である儘田先生のコラボとかファンとしてはものすごい嬉しい!」

紗和「やった!じゃあ、音源、送ってね。」

慧一「嬉しいなあ……。明日にでも送るよ!」

紗和「了解!」


 こういうコラボ、本当にいいよな。アップロードが楽しみだなあ。

 慧一もいろいろあったけど、だいぶ吹っ切れてきたかな。みんながみんな、それぞれ支え合って、いい影響を与えあって。明貴子さんの過去もみんなで支えて行きたいな。

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