第258話●日向夏へべす公式チャンネル「雨東先生とトークをするよ!」収録後半戦
朋夏さんがいったん収録を止めたので、一緒に配信部屋を出て、ダイニングで休憩する。今度は自家製
「圭司くん、ここまでどう?」
「うん、朋夏さんのおかげできちんと出来ているような気がする。」
「私も割と話しやすいから問題ないと思うよ。」
「話しやすいとか話しにくいとかあるの?」
「あるよー。こんな感じでプライベートで話をしているときは問題ないけど、収録とかだとサービス過剰になっちゃう人とか、逆に全然話をしてくれなくなっちゃう人とか、けっこう大変。」
「へえー。逆にやりやすい人は?」
「会話のキャッチボールが出来る人かな。雑談配信って、やっぱり片方向だと面白くないからね。インタビューとかならいいんだろうけど。」
「先週やってた日向夏さんのチャンネルでやってた豊臣さんたちカップルと赤梅さんとの雑談配信、タイムシフトで見たけど、すごい盛り上がっていたよね。あの三人みたいな感じ?」
「そうそう、あんな感じ。あの三人は気心も知れてるし、赤梅ちゃんが大人だからいい感じにフォローしてくれるんだよね。安比でもそんな感じだったでしょ?」
「確かにそうだった。」
「だからものすごい楽。ちなみにひょうたんちゃんはマイペースなのに会話のキャッチボールが出来るからけっこう貴重なタイプかもね。」
「そうなのか。バーチャルライバーとかやっている人たちって、割とみんな問題なくトーク出来る人たちばかりなんだと思っていたよ。」
「そうじゃない人はVTuberとかでもけっこういるよ。」
「へえ。」
「バーチャルトークショーとか、遠隔でやりとりするんで顔とかリアルでは一切見えないから顔色もうかがえないし、空気を読みながらになってね。だから、MCを任されることの多い私は大変なわけですよ。」
「なるほどなあ。」
「そんな修羅場を何度も経験している私がみても圭司くんのトークは全く問題ないから、自信持っていいと思うよ。」
「そうか、ありがとう!」
「じゃあ、そろそろ後半戦の収録しようか。例の件を話してもらう場面だからよろしくね。まずければ一回止めて録り直しも出来るから安心して。」
「了解!」
朋夏さんと一緒に再び、配信部屋に入る。機材のチェックをしたあと、再び収録開始だ!
「よしOK。収録開始のボタンを押すね。5、4、3、2、1……さて、BSの宣伝も見てもらったところで、ここからは雨東先生作品のことをもっと深掘りしていくよ!」
「お手柔らかにね。」
「変なことは聞かないよ!安心して!といいつつ、ちょっと話しづらいことを聞いちゃうんだけどね。」
「えっ!なんだろう!」
驚いて見せたけど、もちろん太田さん確認済みの台本にちゃんと書いてあるので知っている。わざとらしい驚き方になってなかったかな?
「えーと、この前新しく連載をはじめた『単なる木こりなのに回復役はそんなにいりません!』の件なんだよね。」
「あー、あれか。」
「ごめんね、いまの状況だとやっぱり外せないからさ。あの作品、6話からなんか急展開したよね。コメントもけっこう批判がたくさん書かれてたけど、あれはどうして話が急展開したの?」
「まず最初に前提というか言い訳させてもらってもいいかな?」
「うん。」
「いままで異世界探検ものをずっと書いていて、その中に恋愛要素ももちろん入ってはいたんだけど、それをメインストーリーにした物語って書いたことがなかったんだ。」
「そういえば雑誌の短編とかも異世界だけどSFとかだったね。」
「それで、今回はラブコメを書きたくて、あらためていろいろなラブコメを読んだんだよね。どの作品も割と早い段階でドタバタが始まって、カオスになっていたんだけど、それがとても面白くて。」
「確かにそういうラブコメ多い。」
「だから俺もそんな感じにしたくて、なるべく早く導入部分を終わらせてドタバタなコメディ要素を入れようとした結果がああなってしまったんだよね。」
「急ぎすぎちゃったんだね。」
「うん、確かに急ぎすぎた。」
「女性陣が一気に主役に惚れてしまうみたいな記述にも批判が多かったけど、別に女性蔑視とかそういうことではないんだよね?」
この質問は当初盛り込まれていなかったんだけど、太田さんが昨日の打ち合わせで追加を希望した。その場で朋夏さんが、このあとに日向夏さんとやりとりする内容も含めて台本に仕立てたんだけど、なんかさすが配信のプロっていう感じだった。
「うん。そんなつもりは全くない。」
「雨東先生、早緑様が外で働いているから毎日家のこともこなしてるもんね。」
「そうだね。家で仕事をしているから当然だと思っている。俺の方が時間の調整はしやすいからね。」
「そっか。じゃあ、やっぱり女性蔑視みたいな考えはないっていうことだね。」
「うん、そうだね。誤解を与えた人がいるようなら私の表現や文章が稚拙だったからです。本当にごめんなさい。」
「それで、今後はどんな感じ?」
「この前、近況ノートにも書いたけど、作品自体はもう既に書き終えていて、3月11日に最終話になるよ。」
「あっ、もうラストまで予約し終わっているんだ!」
「そうだね、予約し終わってる。」
「そうかあ、ラストまでちゃんと読んで最終的な評価をしたいね。」
ここまでが太田さんの希望を受けて朋夏さんが差し込んだやりとり。コメントには特に女性蔑視だなんていう書き込みはなかったし、経緯はよく判らないんだけど、もしかしたら大崎に対してそういうクレームがあったのかもしない。これで何か変わることがあるかは判らないけど、いい方向に進んでくれるといいなあ。
それにしても朋夏さん、ラストまで読んでいるのに本当にかわし方が上手い。
「そうしてもらえると嬉しいかな。ちなみにこれも近況ノートに書いたけど、その次の作品ももう構想に入っている。」
「そうなんだね。」
「同じラブコメなんだけど、これはもっとじっくり書き進めていくつもりで構想を練っているよ。」
「それは楽しみ!」
この話もちゃんと台本に書いてあって、こちらも太田さんには確認済み。そのあとは新連載のコンセプトやイメージなど、いま話しても差し支えない内容を説明していく。一通りの話が終わったところでエンディングだ。
「今日は雨東先生にいろいろと語ってもらいました!」
「上手く話せたか判らないんだけど。」
「いやあ、すごかったよ!ここだけの情報もけっこう教えてもらったし!」
「それならいいんだけど、よかった。」
「雨東先生の作品は本当に面白いからまだ読んだことのない果肉がいたらぜひ読んでみてね。いま4巻まで出てるんだよね。」
「うん、単行本は4巻だね。5巻と外伝、それと日向夏さんも出演しているオーディオブックの予定もあるよ。」
「その辺も楽しみだよね!じゃあ、今日はこの辺まで。それでは、ゲストの」
「雨東晴西と」
「日向夏へべすやった!みんな」
「「さじーなら!」」
「……はい、収録止めたよ。この部屋出よう。」
収録部屋から出て、ダイニングに座ると朋夏さんはノートパソコンを操作している。
「ほぼ台本通りだったから問題ないとは思うんだけど、ちょっと確認しよう。再生するね。」
ノートパソコンからいま収録した音源が再生される。前編後編の両方を確認したけど特に問題点はなかった。
「うん、大丈夫だね。」
「確認ありがとう。じゃあこの音源は太田さんに一回送って確認してもらうね。」
「ありがとう、よろしくね。」
「せまじょの5巻発売の前に一回配信出来るようにいま企画進めているからよろしく!」
「うん、ぜひぜひ!それとは別に彩春さんとか慧一とか未亜とかも一緒の配信でもいいかもね。」
「あっ、それは面白そう!いまちょっと企画がいろいろあるからもう少ししたらそれも企画書書いてみるよ!」
「よろしく!」
先達がいろいろと配慮してくれるのは本当に嬉しいな。せまじょもヤン聖も読者のみんなに楽しんでもらえるように頑張って書き進めていこう!
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