第220話○日向夏へべす公式チャンネル「夜野月光さんがデビューしたから紹介するよ!」生配信前半戦
瑠乃は無事にデビューとなり、事務所のホームページにデビューのニュースリリースが出た!親友が無事にデビューが出来たのは嬉しいなあ。私にも出来ることがあればどんどん協力しないとね。
瑠乃のデビュー当日は日向夏へべすの配信に出演するところから始まる。運良く、私も時間が空いていたので見学させてもらえることになった。圭司はKAKUKAWAとせまじょ5巻に向けた打ち合わせがあるということで残念ながら同席できない。
「あとで太田さんからも話が行くと思うけど、2/12がテーマ曲の収録日になったよ。BSさんが収録スタジオを一日押さえてくれたから、随時みんなの空きタイミングで来てもらって、どんどん録っていく感じ。」
「了解!」
「よろしくね!」
いよいよテーマソングも収録か!頑張らないと。
「そういえば、コーラスの件って、面接したの?」
「したよ!」
「あれ?私、審査員してないよ?」
「あー、沢辺さんと相談して、早緑様はまだ出演告知してないから審査員するのはおかしいだろうってことになったんだけど、太田さんから聞いてなかった?」
「うん、聞いてなかった。忙しいから忘れていたのかな?」
「そうかもしれないね。ちなみに面接と称して、単に出演のための業務委託契約を書いて貰っただけなんだけどね!」
「なんだ、そうだったんだね!?」
そんな会話のあと、クロマキーがセットされたスタジオに朋夏、彩春、そして瑠乃が入る。調整室には私のほかにバイト明けの華菜恵と慧一くん、そして太田さんと沢辺さんがスタンバイしている。瑠乃が判るくらい緊張しているけど大丈夫かな?
「しめなったか!みんな、見ちょるかな?日向夏へべすちゃが!今日は事務所20階の配信スタジオ大崎からお届けするよ!珍しく予告有りの突発なのは、実は素敵なゲストが来ているからなんだ。紹介するね!」
「みんなこんばんはー!岡里いろはです!まあ、私はあんまりフレッシュなゲストじゃないよね。」
「最近よく一緒にまた配信しているからね。」
「だから今日は私よりももう一人のゲストの方が大事だよ!」
「じゃあ、もう早速紹介しちゃおう!今日、大崎からアイドルデビューした柊瑠乃さんです!」
「初めまして!柊瑠乃です!」
あっ、瑠乃の表情が急に変わった!瑠乃ってもしかして本番になると急にスイッチが切り替わるタイプか。
「私の配信を見てくれるている人には『
「夜野月光さんって、へべすが配信で晒しあげた歌い手さんだよね?」
「ちょっとつむぎ!?晒してないよ!?すごい良かったから紹介しただけだよ!?」
「そうですよ!おかげで生まれて初めて100万再生なんていう数字を見ましたから!」
「ほら!あっ、そういえば、柊さんのことなんて呼べばいいんだろう?デビューは夜野月光じゃないんですね?」
「はい、実は、本名です!」
「事務所のプロフィールを見るとつむぎと同い年だね。」
「そうだねって、私と同い年ってことはへべすも同い年でしょ。」
「そうだった!」
朋夏はいままで年齢を公開していなかったのだけど、例のBS番組で姿を見せることもあって、2月1日に年齢を公開していた。
「それで、初公開情報を出しちゃうと実は瑠乃とは同じ大学の同級生なの。」
「実はそうなんです!」
「普段は瑠乃って呼んでいるからこういうところでも瑠乃って呼びたいな!」
「ええっ、岡里さん、いいんですか!?」
「それ、それもやめよう!いつも通り、いろはって呼んでね。」
「えっ、でも芸能界も事務所も先輩ですし。」
「じゃあ、先輩の命令っていうことにしちゃおう!」
「つむぎがパワハラだ!」
「えー、へべすひどい!そんなことないよ!?」
「まあ、私もへべすって呼んで欲しいなあ。同い年の人とは仲良くしたいんだよね。」
「じ、じゃあ、ラフな感じで行くね!」
「おっ!いいね!」
いや、瑠乃のトークスキルすごいね。もちろん親友二人のカバーもあるんだけど、本名同士だから今後大学で関係がばれるいろはとは正直な話をしつつ、敬語になっている理由も触れていて、それでいて、へべすとの関係には一切触れないことでウソをつかないようにしている。ここ台本ではフリートークとしか書いていないんだよ。それなのにここまで切り返しが出来るなんて新人としてデビューしたばかりとは思えない。太田さんからは「演技とトークスキルに光る物がある」って聞いていたけど、本当にすごいんだなあ。
「果肉のみんなはよく知っていると思うけど、今回の経緯をもう一回おさらいしておくね。私はよくスマイルで『早緑美愛 歌ってみた』ってタグ検索して早緑様の歌ってみたを探しているんだ。MeTubeでもキーワード検索で見て回るんだけど、早緑様の歌ってみたってなかなか上がらないんだよね。でもね、数は少なめなんだけど、けっこういい動画が多いからみんなもタグ検索してみてね。」
「へべす、いきなり話が脱線しているよ。」
「おっと、ごめんごめん。それで10月の下旬に知り合いから薦められて夜野月光さんの早緑様歌ってみた動画をたまたま知ってね。聞いてみたらものすごい良くて。それで配信でみんなに勧めたわけですよ。」
「何万人も見ている配信で晒した、というわけね。」
「つむぎ、そこにこだわるね!?」
「晒された!」
「瑠乃まで!?」
やっぱり朋夏と彩春は上手いなあ。タグ検索をして探しているっていう話をした上で彩春がいったん区切って、そのあと「知り合いから薦められてたまたま知った」って話すと聞いている人はタグ検索していることを知っている知り合いのVTuber仲間から教えてもらったって思うもんね。実際には本人から聞いているわけだけど、本人も知り合いなのは間違いないし、トップライバーって本当にすごいよね。そんな会話をしている流れでいい感じにいつもの空気感になってきているね。三人ともトークスキルがやっぱりすごい。後半もちゃんとやりとりを聞いて、勉強しないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます