第155話●岡里いろは公式チャンネル定期配信第一回後半戦
「じゃあ、美愛も回復したところで、今日はシークレットゲストが来たし、もう雑談枠のつもり。だからコメ読むから適当に送ってね。」
「怒濤のコメント!」
「普段、三人で何してるか知りたいって。」
「なにしてるかな?」
「お茶しているね。」
「誰かの家でね。」
「あっ、三人とも家が近いんだよ。それで雨東先生も含めてちょくちょく晩ご飯食べるよね。」
「一番役得なのはへべすだって?」
「それは間違いない!」
「たしかになあ。早緑様に雨東先生だからね。」
「あれ?私は?」
「モチロンツムギトモショクジデキテトテモウレシイデス。」
「片言なのでツーアウト!」
「ひどーい!」
相変わらずいつものノリだよなって思って笑っていたら。
「ねえねえ、これ、よく思い返してみれば、三人とも大学のノリと変わらなくない?」
「うん、そうだな。全然気がつかなかったけど、あらためてみるといろはさんと日向夏さんのノリはいつものノリだな。」
「華菜恵さんと慧一は気がついたか。うん、そうなんだよ。」
「でも配信できる内容になっているんだからすごいよね。」
「あの二人、大学でもあのノリなんだね。」
「そか、儘田先生は知らないもんね。」
「そういう話を聞くと同じ大学だったらもっと楽しかったのかなって思うけど、いまから編入も無理だしなあ。」
「こればかりは……ね。でも、みんなでいろいろなところに行ってその分楽しも!」
「朱鷺野先生、ありがとう!」
紗和さんの気持ちはよく判るよ……。全部あいつらが悪いから早く法的に制裁を受けて欲しいけど、罪状と被害者が多すぎる上になんか余罪もたくさんあるそうで、当面ちゃんとした裁判は始まらないと担当弁護士さんから聞いている。
なんて意識を飛ばしていたら話題はどんどんと変わっていく。基本的に大学でランチをしているときや誰かの家でお茶をしているときの会話そのものなんだけどね。
雑談といえどテンポの良い会話が続いてコメントもものすごい盛り上がっている。そんな配信もそろそろ終盤、21時55分を過ぎた。視聴者数はなんと10万人を超えている!ウルギフもポンポン飛んできて人気と勢いのある3人の状況が如実に出たようだ。
「それじゃあ、今日の配信もそろそろかな。告知のある人!」
「私からいいかな?」
「はい、美愛、どうぞ!」
「あらためまして早緑美愛です。今日、私の4枚目のCDアルバムが発売されました!渾身の作品になっているのでぜひよろしくお願いします!」
「ものすごい良かった!」
「へべすはもう買ったんだ。」
「フラゲしたよ!」
「私はあとでじっくり聞こうと思っているよ。」
「ありがとう!うれしい!」
「じゃあ、次は私ね。」
「へべす、どうぞ!」
「今度、テレビCMに出ることになりました!オクダイナンコさんから好評配信中のアイドルプロデューサーシンデレラライブというリズムゲームです!最近親しくしてもらっている儘田先生が作った曲とかも遊べるからCM見てぜひはじめてみてね!」
「へべす、すごいなあ。」
「ドルプロだからねえ。アイドルの中の人になったわけじゃないんだけどさ。」
「CMだけでもすごいよ。おっとあとは私だね。」
「つむぎも何かあるの?」
「うん、えーと、もう少し待ってね。」
「いまカンペでも22時まで待って、という伝言が出てます。」
「あとすこしだね。つむぎのお知らせは解禁時間ありかあ。」
「なんかドキドキするね。」
「よし、22時になった。おっ、コメントでも流れはじめたね。」
「ちょっ、コメ、えっ!?」
「これほんと!?」
「はい、目の前のモニタで公式さんのツイストも確認できました!いまちょうど話題に出たアイドルプロデューサーシンデレラライブにて、
「ええっ!すごい!おめでとう!」
「おめでとう!」
「ありがとう!まさか、ドルプロで鼓膜実装の当事者になれると思っていなかったから、びっくりだよ!」
「すごいね!」
「ねえねえ、鼓膜実装って?」
「美愛は詳しく知らなかったね。ドルプロって、約100人のアイドル全員にボイス担当が付いているわけではなくて、順次ボイス担当が付くようになっているの。それぞれのアイドルを応援している人のことをプロデューサって呼ぶんだけど、とあるプロデューサさんが『いま声が聞こえないのは自分の耳に担当アイドルの分だけ鼓膜が実装されていないから』ってツイストしてね。それがすごいリツイストされて以来、ボイス担当が付くことを『鼓膜が実装される』って表現するようになったんだ。」
「へえー!いろは、詳しいね!」
「うん、実はドルプロでプロデューサやっててね。しかも真瑚りんの担当だったの!あ、いま、知ってるってコメしてくれている人たちは私がVだった頃から追いかけてくれている人たちだね!それでね、もう鼓膜が実装されるっていう事実が嬉しくて嬉しくてオーディションの話をもらった時点で泣いちゃったんだ。」
「合格じゃなくて、オーディションの話を見てかー。」
「コメントがみんな感動してるよ。」
「担当として皆さんのファンアートやツイストなんかもずっと見続けていたのでそういうのも考えながら自分なりに真瑚りんを表現したつもりです。楽しみにしていただければ嬉しいです。」
「実装はいつ?」
「公式さんからも流れたとおり、日付が変わった12月2日15時更新のプレミアムガシャから皆さんに鼓膜が実装されます!いままで出た真瑚りんのカードはフェス限も含めて全部持っているからね!早速私も出るまで回しますよ!出たらキャプチャをTwinsterに投げると思うけど、Pレベルに引かないでね。」
「えっ、いくつなの?」
「ちょうど昨日500になった。」
「ええっ!?私もCMに出るからはじめたけど、500ってすごくない!?」
「サービス開始からやっているからね。」
「まさか、そんな年季の入ったプロデューサさんだったとは!私、余りゲームってやらないんだけど、ちょっと興味が出てきたからやってみようかな……。」
「雨東先生が頷いています。フィアンセから許可が出たみたいだよ!」
こっちの実況をまたされた!フィアンセじゃないからね!?
「まだ、婚約してないよ!」
「「まだなんだね、やっぱり!」」
「あっ!」
「美愛がまた墓穴を掘ったところで、今日は配信終わりにします!次回は今のところゲストなしの予定なので、久しぶりにゲーム実況をやろうかと思ってるよ。大崎がオクダイナンコさんと包括契約してくれたので、ドルプロの全体曲と属性曲を順番にエキスパートモード縛りプレイでもやろうかな。それまでに真瑚りんのカード出して4凸するからね!それでは、また来週!みんな、またねー!」
いやあ、彩春さんの配信面白い!これが元トップVTuberのトーク力なんだろうなあ。
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