第221話 書簡

 俺のダンジョンコアに、2つの連絡が入っていた。


 1つは、ドラガンのロンからである。


 「この書簡をなんたら伯爵に渡せば、きっと帰るだろう」


 中身は開けて見た訳ではないが、おそらくは帰還命令書だろう、

とっとと、これを領主に渡してお帰り願おう。


 実際、領主からこの書簡をもらった、ガエウ・シルバ侯爵は、

脱兎のごとく、王都へと帰還した。


 もう1つは、協会からのお礼と相談である。


 なんでも、空き家になったモルゴンかポンシェに、

移転したいというマスターが現れたらしい。


 モルゴンは現時点でマスターがいるので断ったが、

ポンシェに関しては、断る理由がないとのこと、

また例の裏技を使われると困るので、相談したいとのことだった。


 なんでまた相談は俺なんだ?


 まあ、ポンシェダンジョンは、マナの集配も並だったし、ポンシェ自身の技量も並だった、

普通に考えて、マナの集配が並以下で、技量が並以上なら行きたがるわな。


 まあ、こっちもだいぶストレス溜まったし、あっちに行って宴会するのも悪くないか。


 それで俺はまたまた、協会にやってきた。


 「お待ちしておりました、この度は大変ありがとうございました」


 どうやら、カレーは好評のようである。


 「相談は、例の裏技か?」


 「その通りでございます、折角星野様がなんとかしてくれたのに・・・」


 「ああ、あの裏技なら封じ込めること可能だと思うぞ」


 「え、本当ですか?」


 「あのキョウ・アノマリー3を解析をしていて判ったんだが、

メインは量子暗号化のプロテクトがかかっていてすぐには改変できない」


 「しかし、それ以外は書き換えが多分可能だ」

 「特にボーナスポイントの部分は後から追加されたらしく、

非常に妙な定義になっている」


 「具体的に言うと、人間の将軍を倒すとボーナスポイント○×と書かれている」

 「これの意味するところは、獣人の将軍を倒してもボーナスポイントは貰えない訳だ」


 「ここで妙なのは、わざわざ人間とは二重鎖DNA構造を持つと書かれている点だ」

 「これを、人間とは三重鎖DNA構造を持つと書き換えてやれば」

 「裏技は機能しなくなる」「いわゆる定義の変換だ」


 「書き換えは、クリスパーという技術を使えば可能だ」

 「万が一バグが発生しても、この部分が壊れるだけなので、本体に問題は出ない」


 「許可があれば、そんなに時間は掛からないと思うから、今すぐでも出来るが」


 「では、今すぐお願いします」


 俺は、定義の書き換えをおこなった、割と簡単で10分ちょっとで終わった。


 「一応確認してみたが、問題はないようだ、これで裏技は使えなくなった」


 その後は、裏技撲滅記念として、宴会が開かれた。

 


  


 

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