第136話 昼食会

 その頃タチアナは、子供たちと自転車の練習をしていた。

門のほうが騒がしいので見てみると。


「あら、そちらにいらっしゃるのは、ニコス様じゃないですか」


 ニコスが声のする方向に向き直ると、そこにはタチアナお嬢様が居た。


 「これはタチアナ姫、お久しぶりですな」


 「本日は何か御用でしょうか?」


 「タチアナ! 元気してた」


 「ラザロウ、貴女ほどじゃないけどね」


 「何? その変な頭」


 「ああ、これはヘルメットといって、この自転車に乗る時に危ないからかぶっているんです」


 「自転車?」


 「これ!、今乗って見せるから、よく見ていてね」


 タチアナは自転車に乗って、走り回ってみせた。


 「ワオ! すごく早くて、楽しそう!」


 「で、何の用だったかしら?」


 「アレーナギルドのコスタスが頭おかしくなったみたいだから、見に行くとこなの」


 タチアナお嬢様に「ピーン」と悪巧みが芽生えた。


 「ニコス様、本日は昼食はお済でしょうか?」


 「いや、まだだが・・」


 「よろしければ昼食にバイキングはいかがでしょうか?」


 「「バイキング」」横に居た子供たちもハモった。


 「じゃあ、お客様が来たから、用意しておいてとあいつに言っといて」

「今日は、料理の思索にホテルにいるはずだから」

 

 「うん、わかった」と言って自転車を漕ぎ出してホテルへ向かった。


 つづく

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