第135話 ニコス・マフテス
私の名は、ヤシリギ共和国サリラ辺境伯領主ニコス・マフテスである。
最近隣のアレーナがやたら騒がしい、
なんでもダンジョンができたみたいで、ちょっと話題になっている。
まあどうせ「マナが集まりません、助けてください、ヒーー」とかが関の山だろう。
と思っていたが、思ったより長続きしているみたいだ。
うちとジョゼは、利害関係があまりぶつからないこともあり、外交関係は良好だ。
向こうは、漁業関係、うちは農業関係でうまく棲み分けが出来ている。
向こうも一人娘、こちらも一人娘で、しかも同い年だ、仲も良い。
逆に同じ国なのに、隣の子爵との方が仲が悪い。
そんな中、アレーナのヤシリギ・ギルドから、ある情報がもたらされた。
「アレーナのはずれに作られた、ダンジョンが大発展しています」
「はあ? 何かの間違いじゃないのか?」
「あんなマナの集まらない場所でどうして?」
「しかも、めちゃくちゃ美味しい?」
「なんだそれ? スライムとかゴブリン倒すと、魔石やらエリクサーでも出るのか?」
「まったくの意味不明だ」
「どうしたんですお父様」
「ラザロウ、アレーナ・ギルドから変な手紙きて驚いておるのだ」
「コスタスのやつ、ダンジョン潜って毒にでも侵されたらしい」
「今日は時間もあるし、お前も一緒にアレーナ行くか?」
「はいお父様、ご一緒させてもらいますわ」
★ ★ ★
国境の検問所まで来て驚いた、隣のアレーナに続く道が綺麗に舗装されている。
「なんじゃこれは?」
しかも、しばらく馬車を進めると、途中に大きな門があった、
でかい看板もあって、セブンスター・ダンジョンへようこそと書かれている。
「ここが噂のダンジョンなのか? 結構立派だな」
「あ、お父様、ここにアレーナ・ジョゼ辺境伯仮邸は、
真っ直ぐお進みくださいて書いてあります」
「あ、そういえば、引っ越しましたとか、手紙来てたな」
つづく
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