第84話 ふたたび領主邸へ

 俺は、ふたたび領主邸に来ていた。


 今日は、庭先には誰もいない、観音開きのドアに鍵はかかっていない。

俺は、ドアを開けて中に入った。「たのもう」


 奥から初老の紳士があらわれた。「どちら様ですか?」


 「星野敬太と申す、領主アレーナ・ジョゼ辺境伯に会いに来た」


 「おお、あなた様が星野様ですか、聞き及んでおります」

「わたくし執事のセバスチャンと申します、お見知りおきのほどを」

「本日は旦那様は、所要で外出しておりまして、どのようなご用件でしょうか?」


 そんなに大きくない家なので、俺の声が聞こえたのだろう。

奥から、タチアナお嬢様が現れた。


 「あらまた来てくれたのね、で、本日の用件は?」


 なぜか知らんが、俺の手元あたりをじろじろ見ている。


 「アレーナにある、孤児院について相談したいことがある」

 

 「立ち話もあれですから、こちらへ」


 一応、領主邸だから、応接室みたいのはある。


 「今日は菓子はお持ちじゃないんですね、

セバスにも食べさせてあげたんですけど・・」


 おい、いきなり菓子の要求かよ・・


 「いえ、菓子なら持って来てますよ、本日は生ですけど」


 「なま?」


 俺は、テーブルの上に、黒い布を広げて見せた。


 「いきますよ、1、2、3ハイ」、布の下からケーキとティセットが出てきた。

俺って、手品師の才能あるかも? 


 2人は、出てきたものに驚いている、ケーキは、三角ショートとモンブランだ、

絶対に食うと思った俺は、各4個づつ出してやった、どうだ!!


 ティセットは、ウのつく有名メーカーのやっだ、

お茶は午前の紅茶アイスだけど・・。

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