第72話 噴水

 この星の夜は非常に暗い、よほどの大都市に行かなければ街灯なんかはない。


 「さあ、みんな食事は終わったかな?」

「これから外で面白いものを見せてあげよう」


 「え、外はもう真っ暗ですよ、星でも見るんですか?」


 「それは、見てからのお楽しみ」

 

 突然音楽が流れ出した、そして池から光が浮かび上がり、


 やがて、水の精霊が現れた。


 水の精霊たちは、音楽に合わせるように、踊りだした。


 それはこの世のものとは思えないほど、幻想的で、綺麗だった。


 全員が口を空けたまま、惚けている。


 約5分の、水の妖精たちのダンスは、音楽の終了とともに終わりを告げた。

 

 うん、やっぱり周りが暗いと映えるなあ。


 「どうだったミーシャ」


 「・・・」魂を抜かれたように、しばらくは無言だった。


 この星で、たぶん始めての噴水ショーは、こうして終了した。


 一応、このダンジョンの目玉の一つとして育てていこう。

 

 俺はホテルに戻ろうとしたら、ミーシャが正気に戻った。


「すごいにゃ、すごいにゃ、ミーシャもう一回みたいにゃ」


 結局ごねられて、もう1回だけやった、俺って甘いな。

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