「雑魚には鍛冶がお似合いだwww」と言われた鍛冶レベル9999の俺、追放されたので冒険者に転職する〜最強武器で無双しながらギルドで楽しく暮らします〜
第21話 その頃『白銀の翼』は(5)(追放者side)
第21話 その頃『白銀の翼』は(5)(追放者side)
「どういうことっすか!?」
「なんで俺達を見捨てたんだよ!!」
『白銀の翼』のギルド応接室にて、ジュダルは団員達に責めたてられていた。
全員『影の悪魔』壊滅に参加していたメンバーだ。
「お、落ち着けお前ら! 俺の話を聞け!」
「これが落ち着いていられるか!」
「アンタリーダー失格だよ!!」
「俺、そんな人だと思いませんでしたよ!!」
理由は言わずもがな、ジュダルが自分の命惜しさに仲間を見捨て逃亡した件についてだ。
自身はサンドスネークの討伐の際に気絶した時、団員達に救助してもらったにも関わらず。
見捨てられた方はたまったものではない、本当なら命を落としている。
「あれは、あれは違うぞ……俺は他のギルドに救援を要請するつもりだったんだ!」
「嘘だ! ギルドに戻ったらすぐ部屋に閉じこもっただろうが!」
ジュダルはルゴスに威圧された後『白銀の翼』に設けられた自室のベッドに身を包み、ガタガタ震えながら3日間出てくることは無かったのだ。
「何なんだテメェら! 久しぶりに出てきてやったと思ったら俺を責めたてることに体力使いやがって! そんなんならクエストの1つや2つクリアしてきやがれ!!」
ジュダルは高級なテーブルをダン! と叩きつける。
「その件なんですけど、俺達もうここやめることにしました」
「ああ?」
「俺達『白銀の翼』をやめます」
責めたてていた団員達は冷めた目を向けながら続ける。
「おい、ちょっとまて! お前ら!!」
「もう決めたんです、それじゃ」
闇ギルド討伐に参加していた団員達はゾロゾロとその場を後にする。
残されたのはジュダルを含む20人ほど、約半数がいなくなってしまった。
「ちっ! 所詮はマキナと同じ弱虫って訳かよ!!」
ジュダルは壁を強く蹴る、仲間を見捨てた自分自身の行いは既に忘れていた。
これも2度も不良品を売りつけたサルマ武具店のせいだ、ロクでもない店だって言いふらしてやる……!
「お前ら、あんな奴らのことは忘れてクエストいくぞ!」
「あ、あの、ジュダルさん」
ジュダルが苛立つ中、1人の団員が勇気を出して話しかける。
「そ、それが、クエストなんですけど……」
「??」
団員の様子にに不穏な空気を感じながらジュダルはクエストボードに向かう、すると。
「――なんだよこれは!?」
いつもは所狭しと依頼書が貼られているのに、今は数えるほどしか貼られていない。
「俺達のクエスト失敗が色んなところに知れ渡っているんです……あとギルド協会から連絡があって、最近のクエスト達成率を考えてそちらに難度の高いクエストを回す訳にはいかないって」
「はああああん!?」
『白銀の翼』はマキナを追放してからサンドスネークを始め、1つもクエストを達成出来ていなかった。今回の闇ギルド壊滅失敗を重く捉えたギルド協会が『白銀の翼』のクエスト依頼ランクに制限をかけたのだ。
「っっっっざけんなよ!! 1番ランク高いのがアイアンハリネズミの討伐じゃねぇかよ!!」
アイアンハリネズミ、背中に鋼鉄の針がビッシリと付いた中型のモンスターだ、3体の討伐が依頼の内容だった。
「チッ、背に腹は代えられねぇか!!」
ジュダルにとっては以前倒したことのある、楽勝の相手だ。
彼はギラリと銀色に光る新品のロングソードを鞘から抜き取る。
「最初からダゴン・ワークスの武器にすりゃあ今までのクエストも、あの仮面野郎にも負けることはなかったんだ……!」
王国の各地に店舗を構える武器屋『ダゴン・ワークス』の武器を片手に、歯軋りをするジュダル。
ギルド協会の奴らめ、
だけどなぁ、
さっきのメンバーの大量脱退により『白銀の翼』は更に完璧な集団になった。
俺達をもう誰も止めることは出来ねぇ!!
「――いくぞテメェら!!」
「……は、はい!」
ジュダルの怒号と共にクエストに向かう残りの団員達、その表情は曇りきっていた。
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